不動産基礎知識

競売の申立ての取り下げと予納金との関係

競売の申立てには、予納金が必要です。申立人が納めた予納金は競売の手続きを進めるための経費に充当されますが、取り下げが行われると残金が申立人に返還されます。
したがって取り下げが遅くなれば遅くなるほど、予納金の残金が少なくなるということになります。

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競売の申立てにおける予納金
裁判所で行われる競売ですが、売却が完了するまでには色々な作業や手続きが必要になります。差押の嘱託登記手続きに要する費用、裁判所の執行官と不動産鑑定士が作成する現況調査報告書、評価書の作成費用、郵便物の送料などの費用が発生しますが、このような費用は競売の申立て時に納付された予納金によって賄われます。
予納金の額は裁判所によっても異なりますが、東京地方裁判所における予納金の規定を例に挙げると、請求債権額が2000万円未満で60万円、2000万円以上5000万円未満で100万円、5000万円以上1億円未満で150万円、1億円以上で200万円となります。

予納金の取扱い
予納金は競売の申立て人が納めることになりますが、納めた予納金は競売による売却代金から優先的に返還されます。もし、使用した予納金よりも売却代金が低い場合には負担した金額が戻ってこないことになります。
競売によって落札者が代金を支払う前までに取り下げなどが行われた場合には、取り下げの時点で残っている予納金が競売の申立て人に返還されることになります。したがって取り下げが早ければ早いほど申立人に返還される予納金の額が高くなることになります。特に費用の高い評価書の作成前と作成着手後、作成後とでは返還される予納金の金額に大きな影響を与えることになります。
もし、滞納しているローンなどの一括返済の目途がついた、任意売却で話を進めたいというようなことなどであれば、出来るだけ早く申立てを行った債権者に競売の取り下げをお願いするようにしましょう。予納金の返還金が大きい方が交渉もスムーズに進みますし、何よりも債務者側の負担も小さくなります。

予納金の返還が債務者に行われるケース
予納金の返還は基本的の申立てを行った債権者に対して行われますが、まれに債務が残っているにも関わらず、債務者が予納金の残金を受け取ることができるケースがあります。
例えば甲銀行に2000万円、乙銀行に500万円の債務がある場合に、甲銀行が100万円の予納金を納めて競売の申立てをした場合に、任意売却によって2200万円で物件が売却出来たケースなどです。債務者が甲銀行に予納金と合わせて2100万円を支払った結果、甲銀行は裁判所から予納金の残高を返還してもらう必要がなくなります。
このようなときに債務者が裁判所から予納金の残金を受け取ることができる場合があります。このような事案は、競売よりも高値で売却できる可能性の高い任意売却だからこそといえるかもしれません。

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