離婚した後に家主が家から出ていく場合、今後そのまま住む人の名義に変更しておかなければいけません。名義変更を怠ってしまうと、後々、大きなトラブルに見舞われることになります。今回は、離婚後の名義変更の手続きとそれにかかる費用について解説していきます。
名義変更が必要な理由
離婚後に必要な処理として「財産分与」があります。現金や物といった動産以外にも、住まいである不動産に関しても所有者を決めなければいけません。
不動産の財産分与で気を付けなければいけない点として、ローンの返済義務はローン名義人にあり、離婚後に名義人以外の人が住み続けた場合、契約違反でペナルティを受けることがあるということです。万が一支払いが滞ると、家が競売にかけられ強制退去させられる可能性もあります。
名義変更に必要な物
名義変更には、管轄の市町村の法務局で「所有権移転登記」を行わなければなりません。所有権移転登記には、以下の物が必要になります。
〇司法書士への委任状
〇身分証明書・マイナンバーカード
〇登記事項証明書
〇登記申請書
〇登記済権利証(2005年3月7日以降は12桁の登記識別情報)
〇登記原因証明情報
〇固定資産評価証明書または課税明細
〇離婚日が記載された戸籍謄本
〇不動産を譲る側の印鑑証明書と実印
〇不動産をもらう側の住民票と認印
他に、離婚する際に決めた約束事を文書化した「離婚協議書」を作成しておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。登記には必要な準備が多く、司法書士といった専門家に相談・依頼することをお勧めします。
所有権移転登記にかかる費用
所有権移転登記には大きく分けて、「登録免許税」「必要書類手配の手数料」「司法書士への報酬」の3つの費用がかかります。
登録免許税
所有権移転登記には登録免許税を納めなければなりません。財産分与を目的にする場合、土地・建物共に、固定資産税評価額の2%の登録免許税を納付します。
必要書類手配の手数料
管轄の市町村役場で「住民票」「印鑑証明書」「固定資産評価証明書」、法務局で「登記事項証明書」を1通300円~750円の手数料で発行してもらいます。これらは登録免許税の支払いの際に法務局が確認する書類ですので早めに取得するようにしましょう。
司法書士への依頼
司法書士へ所有権移転登記を依頼した際の手数料の相場は4万~5万円と言われていますが、報酬は自由に設定できるため金額は正確に決まっていません。安さだけで決めるのではなく、信頼できる事務所を選ぶようにしましょう。
名義変更が了承されなかった場合
ローンの名義人変更は夫婦の収入の差から、認められないケースもあります。マイホームの売却する方法を検討してもいいかもしれません。
つらい気持ちを思い出したくないという理由から、家の売却を選択される方も多くいらっしゃいます。家を手放すことで、現金化すれば財産分与も楽に行えるうえ、離婚後の債務トラブルもまとめて解消されるので、不動産の売却は有効な選択肢の一つと言えます。
まとめ
離婚後、ローン名義人以外が家に住み続ける場合、所有権移転登記をする必要があること、またはローン名義の変更を行う必要があることを解説しました。しっかり手順を踏んで手続きをすれば、契約違反や滞納で自宅から追い出されたりするといったトラブルを未然に防ぐことができます。
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