マンションなどの不動産に投資を行う賃貸経営の収入は部屋を賃貸することで獲得する家賃です。部屋の賃貸に関して必要とされる資格としてイメージされるのは、宅地建物取引士いわゆる宅建ではないでしょうか。賃貸経営を行うのに宅建の資格は必要なのでしょうか。
■賃貸経営と宅建
一般的に部屋を借りたいと思ったら賃貸の仲介業を行っている不動産会社で物件を選び、物件が決まったら賃貸借契約を締結することになります。この賃貸借契約の締結の際に宅建の有資格者から物件や契約の説明を受けたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
不動産の売買や賃貸借では契約の締結前に契約を締結するものが知っておくべき事項の説明を行うことが宅建業法によって義務付けられています。この知っておくべき事項のことを重要事項といいますが、重要事項の説明を行うことができるのは宅建の有資格者だけなのです。そうなると大家が所有する投資物件を他人に賃貸する場合、大家には宅建の資格が必要になるのでしょうか。
■宅建業に該当しなければ不要
宅地建物取引業法に該当する業を行う場合には、宅建業の免許を受けていることが必要になります。宅建業には①自らが行う宅地や建物の売買や交換、②売買や交換、賃借をするときの代理や媒介が該当します。
したがって賃貸経営を行っている大家が自らの物件を他人に賃貸する行為は宅建業法に定める宅建業に該当しないため宅建業の免許は不要となるため、宅建の資格も必要ありません。大家から依頼を受けて賃貸の代理や媒介を行う不動産会社は宅建業の免許が必要となり、宅建の有資格者が必要となるのです。
■宅建の資格はあった方が良い?
自分の所有する物件を自ら賃貸する場合には宅建の資格は不要であり、仲介会社に依頼する場合であっても仲介会社が宅建業者であれば良く、賃貸経営を行っている大家自身が宅建の資格を所持している必要はありません。大家として必要な知識は、宅建の知識よりも賃貸経営を行うためのノウハウや確定申告を行うための知識のほうが重要です。
それでは賃貸経営には宅建の知識は全く役に立たないかというと決してそんな事はありません。宅地建物取引士の試験では宅建業法を始め、建築基準法、都市計画法など不動産に関する幅広い知識が問われますので賃貸経営を行うにあたって、特に物件の取得時などで必ず役に立つ場面はあると考えらえます。また、取り扱う物件の数が多くなってきた場合に宅建業の免許を取得して売買を自ら行うことも可能になるのです。もし、賃貸経営に興味があるのでしたら、不動産に対する知識も深くなりますので宅建の取得はお勧めです。