夫婦が離婚するとき、一般的には片方もしくは双方が家を出ることになりますが、法律ではどのような取り決めがされているのでしょうか。今回は、夫婦離婚の際にどちらが家を出るのかについて説明します。
法律で定められているのか?
離婚する際には、片方もしくは双方が出ていくことになりますが、法律で定められているのかというと、そうではなく、特に決められてはいません。名義が夫の住宅に住んでいるならば(婚姻中に建築・購入した場合)、夫婦共有財産との認識のもとで権利を半分ずつ所有しています。
もしも、一方的に家を追い出された場合は「悪意の遺棄」となる為、同居、協力、扶助それぞれの義務に対する違反行為をしたとされ、慰謝料の請求が可能となっています。その様な事態を避けるためには、家を出るのはどちらになるのかを離婚協議の場で夫婦間の相談が必要となります。
家を出る典型的な例を挙げるならば夫、又は妻からの暴力に耐えられないと判断した場合や、子どもを連れて実家へ帰るもしくは新規に住居を借りるなどがありますが、これらのパターンは妻側だけではなく、夫側も同じ理由で家を出るケースももちろんあります。
家を出ても発生するもの
離婚前、もしくは離婚後における別居のために家を出る場合、理解しておきたいのが「婚姻費用」です。夫婦双方で負担する生活費の事です。高収入の方は、低収入の方に対する生活費を援助する、相互扶助義務を負っています。
同居中は一つの家計で済みますが、別居中はそれぞれ別の家計となります。そのため、夫婦間においては婚姻費用の分担義務が生じるため、費用請求が可能です。それが履行されれば、別居後のどちらか一方が生活困窮の状況になる事は、なくなるわけです。
費用の詳細については、別居開始前に協議の場を持ち、概要(支払い方法及び費用)を確認しながら決定すると、空白期間の発生がなくなります。なお、費用コストは支払う人と貰う人双方の年収と子どもの年齢や人数などを考慮しながら、最終的に負担する額を決定することになっています。
任意売却という選択肢
離婚後に元夫と元妻、双方が家を出ても、住宅ローンの支払い義務はそのまま残ることになります。一戸建て住宅の直接売却はローン完済までの間、抵当権がかけられている関係上不可能です。
また、住宅ローンの支払いを滞納した場合は債権者である金融機関からの申し立てを受けて、裁判所の権限で競売対象となります。競売での売却価格は、市場価格の6割から7割程度と安い価格になります。
競売を回避するには、住宅ローンの融資を受けている金融機関から合意を得る必要があります。債務残高に関わらず、金融機関の同意があれば住宅ローンの残っている家も売却が可能です。
アンダーローンとオーバーローン
家の売却額が残債を上回るアンダーローンの場合は、一般的な売却となるため、住宅ローンを完済し、残った金額を夫婦で分け合えることが特徴です。
対照的に家の売却額が残債を下回るオーバーローンの場合は、売却で得たお金だけでは残債を払いきれない為、金融機関と協議の場を持ちながら、返済額や期間を調整(再交渉)することができ、無理のない金額で支払っていく事になります。
まとめ
離婚でどちらが家を出るかの問題については、法律で特に定められていないものの、一方的に追い出された場合は悪意の遺棄として、慰謝料の請求対象となっています。また、双方が家を出る場合は、早めに任意売却を検討しましょう。
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