順調に支払えていた住宅ローンも病気や事故、リストラなどによって支払いが滞ってしまうことがあるかもしれません。そのとき担保に供しているマイホームは即座に債権者である金融機関などに差し押さえられてしまうのでしょうか。
■差し押さえとはどのような状態なのか
債権者が不動産を差し押さえると、債務者はその不動産を使用することができなくなり、強制的に退去しなければいけないイメージがありますが、そのようなことはありません。不動産の差し押さえとは、所有者である債務者がその不動産を譲渡したり、賃貸したりという処分行為を行うことができないようにすることをいいます。居住し続けることは処分行為ではないので退去する必要はありません。
■住宅ローンを滞納したらすぐに差し押さえられてしまうのか
結論から言いますと滞納したら即座に差し押さえられるということはありません。住宅ローンですと、支払いの催促状と併せて競売予告通知や代弁債予告通知などが行われ、その後、差し押さえの登記がされ、競売の実施という流れに進むことになります。滞納から差し押さえまでは債権者にもよりますが、半年前後と言われています。
■とにかく早い相談を
せっかく手に入れたマイホームですから、住宅ローンもしっかり返済して手放すことの無いようにしたいものです。ローンの支払いが苦しくなってきたら早めに金融機関などに相談をしましょう。金融機関としても競売の手続きを取るよりは、返済を続けてくれるほうがメリットのある話しなので親身に相談に乗ってくれます。
■それでも住宅ローンの支払いが厳しい
どれだけ返済を継続するための努力をしてみても、返済を続けることが難しいという場合には競売の実行を待つしかないのでしょうか。競売となると最悪なケースでは割安で売却が行われてしまい、残債が多くなって最終的に自己破産するしかないということもありえます。また、近所にも競売の事実を知られる可能性が高く、ご家族を含めて関係者の精神的な負担も大きなものとなります。
■任意売却という選択もあります。
金融機関などの債権者の合意を得て、競売市場によらず、一般の不動産市場で適正額にて不動産の売却をし、債務の返済を行う任意売却という方法があります。任意売却となると債務者自身による手続きなどが多くなりますが、それだけのメリットがあります。任意売却は売買の相手だけでなく、債権者とも交渉を行わなければなりません。このため任意売却に精通した信頼できる仲介業者を見つけられれば債務者の負担も減り、売却もスムーズに進む可能性が高くなります。