近年、子供のいない夫婦が増えてきているといいます。女性の社会進出などによる晩婚化やあえて子供をもうけないことを選択した夫婦の増加など要因は色々あることだと思います。しかし、相続については共通して気を付けておくべきことがあります。気をつけておかないとあとで非常に大変なことになることもあるような内容です。後から大変なことにならないように気をつける点を確認しておきましょう。
■法定相続人を確認しましょう。
夫婦のいずれかが亡くなった場合、その夫婦に子供がいなければ遺産全部を配偶者が相続できると思っていませんか。遺言による指定がない場合、亡くなった人の財産は法定相続人が相続することになります。配偶者は当然に法定相続人となりますが、子供がいない場合でも全ての財産が配偶者のものになる訳ではありません。子供がいない場合の法定相続人は次のようになります。
親がいる場合
配偶者が3分の2を相続し、被相続人の親が3分の1を相続します。
親がいない場合
配偶者が4分の3を相続し、被相続人の兄弟が4分の1を相続します。
親も兄弟もいない場合
配偶者が全ての財産を相続することができます。しかし、ここで気をつけなければならないのは被相続人の兄弟に子供(甥や姪)がいる場合です。甥や姪は相続権を失った人(この場合には被相続人の兄弟)に変わって相続人となることができるのです。これを代襲相続と言います。
以上のように、配偶者に財産を全て相続させたいのであればお互いの親族についてしっかりと確認をしておきましょう。特に前妻や前夫の間に子供がいる場合には、その子供は相続人となりますのでしっかりと話し合うことが大切です。
■遺言があれば問題解消
配偶者のほかに法定相続人がいても遺言を作成し、配偶者を全ての財産の相続人と指定することで全ての財産を相続させることが可能となります。なかなか生前の元気なうちから遺言を作成するというのも気が進まないとは思いますが、大切なことなので作成されることをお勧めします。また、遺言には作成のルールがありますので、遺言の内容が無効とならないように、注意して作成しましょう。弁護士などの専門家を頼れば間違いないでしょう。
■もし、財産が自宅しかない場合に他に相続人がいると
相続税の分割の結果、他の法定相続人に支払をするために自宅を売却せざるを得ないということもありえます。さらに共有名義の自宅でローンの支払が残っている場合には更に困ったことになります。このような場合には、ローンを借りている金融機関や任意売却の専門家などに相談をされてみてはいかがでしょうか。アドバイスを受けてみることで色々な問題が整理されて解決する可能性もあります。まずは行動してみましょう。