住宅ローンの返済が出来なくなってしまったら、債権者は連帯保証人に債務者に代わって債務の弁済を求めることができます。できることならば連帯保証人に迷惑は掛けないようにしたいところですが、それは可能なのでしょうか。
■ 連帯保証人の役割
連帯保証人には、単なる保証人とは異なり「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」が認められません。催告の抗弁権とは、債権者が保証人に対して債務の弁済の請求をしたときに、主たる債務者にまずは請求をするように主張することができる権利です。検索の抗弁権とは、主たる債務者の所有する財産を先に処分するまでは弁済を拒否できる権利です。分別の利益とは保証人が複数いればその人数に応じて平等に分割した金額分のみ責任を負えば良いということです。これらの権利が連帯債務者には認められないため、いきなり債務の弁済を求められても連帯債務者は拒否できないということになります。
■ 非常に重い連帯保証人の責任
連帯保証人の責任は非常に重く、主たる債務者と同等の責任を負っていると言っても過言ではありません。住宅ローンの借入を行う際には、金融機関から連帯保証人を要求されないケースが多いのですが、共有などの物件の特性や融資の審査などで連帯保証人を求められることもあります。いずれにせよ連帯保証人になってくれる人は、重い責任を背負ってくれた方である訳ですから、出来る限り迷惑は掛けたくないと考えるのが通常だと思います。
■ 住宅ローンの返済が困難になってしまったら
住宅ローンの返済が出来なくなってしまったら、連帯保証人に弁済の請求が行くことになってしまいます。これを避ける方法はないのでしょうか。まず、ローンの返済ができないのであれば、返済方法について金融機関と相談をしましょう。条件の変更などで支払いが継続できるかもしれません。それでも返済が困難となれば、いよいよ担保となっている物件を手放すことも考えなければいけません。競売の実行は連帯保証人の承諾が不要なのですが、売却金額が一般の不動産売却市場における相場の6~7割程度と言われています。もし、多くの残債が残るようであれば、連帯保証人にも多大な迷惑を掛けてしまうことになります。
■ 任意売却で出来る限り高額で売却
債権者である金融機関などとの交渉次第であり、実際には厳しい部分もありますが、任意売却の承諾を得て売却した結果、残債が僅かで返済も確実であれば連帯保証人への請求を猶予してくれる可能性も無くはないです。何れにせよ返済不能な状況下においては、任意売却を選択し、なるべく物件を高く売却することで極力残債を少なくすることが取りうる最善の手段と言えます。任意売却の専門家なら交渉の相談にも乗ってくれますので助力を得ながら、債権者、連帯保証人に対して誠意ある対応をしていきましょう。