相続税は一定の金額を超える場合に亡くなった方の遺産(相続財産)を相続で受け継いだ場合や、遺言によって遺産を受け継いだ場合にその遺産総額となる金額が大きいと最高税率55%のとても高い税率が課せられます。今回は、相続税を多く納めないために必要な知識「債務控除」について触れたいと思います。
■債務控除とは?
相続税を算出する際、課税対象となる財産からマイナスの財産を差引くことができます。これを債務控除といいます。債務控除を行うことで、課税対象となる財産を減らすことができ相続税の負担を軽減することができるのです。つまり、控除できる金額が多くなるほど課税対象額は小さくなるので税率が低くなったり、相続税がかからなくなることもあるのです。
算出過程で差引くことができるのは、相続人の人数に応じた基礎控除、借入金、未払金(入院費用や施設利用料等)、未払い税金、死亡退職金(上限あり)、死亡保険金(上限あり)、非課税金額、葬式費用などがあります。ただし、気を付けていただきたいのは、控除できる対象となるものと、ならないものがあるということです。
■債務控除できるもので気を付けるポイント
◎借入金
相続税の計算をするうえで重要なことは相続開始日で判断するという事が原則となります。つまり、亡くなった日を基準とするという事です。ですので、被相続人が生前に銀行等に借入をしていた場合、亡くなった日の借入金残高を債務控除として差引くことができます。
また、連帯債務(共同して借入金を負担している)については、その負担分が債務控除できます。気を付けてほしいのは、連帯債務を連帯保証人と混合しないことです。連帯保証人の場合は「確実な債務」ではないので被相続人が亡くなっても、返済は債務者が行っているので、認められません。
◎葬式費用
先にも触れていますが、相続税を計算するときに被相続人の葬式などにかかった費用を相続財産から差し引くことができます。葬式費用の金額は式場や、弔問客の数、個人の宗教によって変わってきますが、平均的な費用として135万円前後とされています。
相続税の税率が1番低い10%と仮定しても13.5万円の税負担が減ることになります。葬儀の時は債務控除に必要な証明となる領収書が発行されないケースがあります。それはお布施や心付けですが、費用負担した日にち、対象者、名目を記録しておくとよいです。
気を付けなければならないのは、葬式費用の中でも対象とならないものがあります。それは、香典返し・生花・お供え・位牌(仏壇の購入)・墓地、墓石の購入費用、墓地の借入料、墓石の彫刻料、初七日・四十九日に関する費用があります。
しかし、最近では葬儀と初七日をまとめて行うことが増えていますが、このようなときには、葬式の前後に生じた法要が執り行われた場合は控除の対象となることもあります。
■まとめ
相続は故人が亡くなったと同時に開始し、原則10ヵ月という短い期間で相続税の申告と納付をしなければなりません。税務署でも申告書の書き方などは指導してもらえますが、難しいと思われる場合は、相続に詳しい専門家に相談されることも検討しましょう。
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