競売をおこなう場合は、債権者が債務者の担保となる物件を競売にかけることがほとんどです。自ら競売に出すことは少ないでしょう。競売にかけられる物件は、債権者が1組だけとは限らないのです。そのことを含む、競売の配当要求(はいとうようきゅう)について紹介しましょう。
■「配当要求の終期」の公告は
競売の申立から始まり。「競売の開始」を決定することで、競売の不動産が差押えとなるのです。競売の手続きでは、差押えの登記を裁判所で完了することによって、「配当要求の終期」を裁判所書記官が公告することになります。
「配当要求の終期」とは、差押え登記による競売物件の目録を広告します。もしも、当該対象物件に他の債権者がいる場合には、申し出て下さいという制度なのです。執行裁判所に配当要求の終期の公告を、おこなうことが義務付けされています。
公告されたその後に、3か月から半年にかけて、競売の開札が始まることになります。「配当要求の終期の公告」によって、多くの競売物件は、競売の入札にかけられることになります。中には、債権者との了解を得ることで、競売の停止がおこなわれたり、場合によっては、「任意売却」へと移行することもあります。
■配当要求の仕組み
配当要求の終期をおこなった場合に、競売の売却許可が3か月以内に出なかった場合には、自動的に延長となります。延長の期間は3か月あとに延長となるのです。裁判所は、競売による売却で、抵当権などの担保の権利が消滅することを、他の債権者にも届け出をおこなうことを促します。
代表的な債権者は、通常ならば届け出をおこないます。届け出をおこなわなかった場合に、先に届け出をした債権者が負うべき費用が、無駄になることによって損害を生じる場合も考えられます。その場合には、損害賠償の対象となる可能性があるために、債権者の対象が自分だけだとしても、後のトラブルを避ける場合にも「債権の届出」は、必要な行動となります。
◎弁済済みの債権
債務者が支払いにより担保権がゼロになった場合にも、登記を抹消しておかないと、競売の申立人が不利益を受ける可能性が生じます。
◎無剰余売却の禁止
・優先債権がある場合には、入札価格の「買受可能価額」が手続き費用と、優先債権者の手にする見込み額の合計に満たない場合には、売却の禁止となります。
・優先する債権者がいない場合には、「買受可能価額」が共益費用の見込み額を、超えない場合に禁止になります。無剰余通知があった場合には、差押債権者は3つの条件の1つでも証明しなければ、競売の取り消しをおこなうことになります。
①買受の申し出を自らおこなうこと
②余剰が生じる
③優先債権者の同意を得ること
※1週間以内に手続きしなければ取り消しになります。この場合の費用の負担は、差押え債権者の費用負担になってしまいます。
◎住宅ローンの残金がある競売
サラ金などが、債権の回収の為に住宅ローンの残金に、満たない価格での売却を認めてはいません。先に担保が設定されている不動産を強制競売が、出来ないことになっています。
※以上のように無剰余競売の通知を受けた、競売の申立人が損害を被るケースが起こるので、トラブル防止の為にも「債権の申立て」が必要なのです。
■配当要求の申し立てについて
強制競売申立人が差押登記を実行してしまった場合に、他の債権者が、「配当要求の終期」までに、申立てがなければ、競売の売却代金から配当(債権者の割合に応じた金額)を受ける機会が無くなってしまうのです。
ただし、競売不動産が売却される時点までは、3か月ごとに「配当要求の終期」が更新されることになります。その期間中に、他の債権者は、配当要求の申立てが必要です。
◎配当要求ができる債権者
「債務名義の正本を有する債権者」や「差押登記後に登記された仮差押債権者」と「一般の先取特権者」となっています。
※売却条件の確定によって、物件明細書を作成し、現況調査報告書や評価書の3点セットが公開されることになり、法律関係や以上のような事実関係を把握することができます。
■まとめ
競売の配当要求の申立てについて詳しく紹介しましたが、法律の解釈は難しくなっています。競売や任意売却については、専門に取り扱う不動産会社にお任せください。
不動産の賃貸管理や不動産の投資のことなら全ておまかせ、ご相談も「アブローズ」までご一報ください。