住宅ローンは相当な金額を長期に渡って返済し続けることになります。30年以上かけて返済という方もいらっしゃいます。これだけの長い間であれば、仕事の都合による海外移住や親の介護などの親族の都合、リストラによる返済不能などでローン中であっても自宅を手放さざるを得ないという方もいらっしゃることかと思います。そもそもローン中で債務が残っている家を売却することはできるものなのでしょうか。
■ ローン中の家を売却するためには
ほとんどのローン中の家には抵当権が設定されていることと思います。ローン中の家を売却しようとしたときに問題となるのは、この抵当権なのです。法律上、抵当権が付着した不動産を売却すること自体には問題はありません。しかし、抵当権が実行されても対抗できない不動産を購入しようとする人はほとんどいません。したがってローン中の家を売却するためには抵当権の抹消がカギを握ることとなります。 抹消のタイミングですが、決済と同時に手続きを行うケースもありますから、売買契約締結までに抹消しなければならないということはありません。
■ ローン中の家の売却方法
ローン中の家の売却を行う方法として、一般売却、競売そして任意売却があります。一般売却は自己資金又は売却代金若しくは両方を足し合わせて借入金の一括返済ができる場合の売却方法です。残債が無くなるので抵当権が問題になることはありません。競売では、売却による所有権移転の際に抵当権は抹消されることが定められているため、抵当権が問題になることはありません。問題なのは売却代金をローンに充てても、なお残債が発生するケースです。借入金が完済されないので抵当権を抹消するためには、債権者であり抵当権者である金融機関等の承諾が必要となります。債権者の承諾が得られれば、任意売却によってローン中の家の売却が可能となるのです。
■ 任意売却は実際に可能なのでしょうか
任意売却は競売よりも高い金額で売却できる可能性が高く、残債を少なくできるメリットがありますが、債権者の承諾が必要となります。競売による売却価格よりも高い価格での売却が可能であれば、基本的には承諾をしてくれるケースがほとんどです。債権者も回収できる金額は高い方が好ましいからです。しかし、承諾の可否は債権者次第なので必ず承諾してくれるという保証はありません。連帯保証人がいれば、売却の手間を掛けるよりも連帯保証人に請求するほうが手っ取り早いと考えるかもしれません。税金の滞納による差押えがあると、その解除が必要となりますが難しいケースが多いです。しかし、最初から諦める必要はありません。債権者を始め関係者と交渉を続けていく中で問題が整理されて任意売却に進めるケースもあります。このような場合には交渉力が大切です。自身で交渉されるのも良いですが、専門的な知識も必要であることから、任意売却を検討する場合には任意売却の専門家にも相談をされることをお勧めします。よりスムーズに問題が整理され、交渉もうまく行く可能性が高まります。