任意売却は、通常の不動産取引のように費用が発生します。しかし、任意売却をする状況となると、費用を負担することも困難でしょう。特に引っ越し費用に関しては、都合してもらえるケースともらえないケースがあります。それは、なぜなのでしょうか?こちらで解説していきます。
任意売却するにあたっての費用
引っ越し費用を捻出する仕組みについて説明するには、任意売却で債権者(金融機関等)が受け取る売買代金の配分について理解しておく必要があります。通常の不動産売買で、費用が当然のように発生するように、任意売却においても費用は発生します。そのような費用が全て控除されるかどうかは、取引先の金融機関でも変わってきます。
〇住宅ローンの残り:対債権者
〇物件売却時の不動産仲介手数料:対不動産業者
〇抵当権の抹消費用と司法書士の報酬:対司法書士
〇管理費や修繕積立金の滞納分:マンションの場合
〇固定資産税等の滞納精算金:対役所
〇引っ越し費用
〇残金の振込手数料
〇残置物の撤去費用
〇後順位担保権者のハンコ代
〇差押え等がある場合、その解除費用
任意売却での引っ越し費用の位置付け
任意売却をするにあたり、引っ越し費用は売却代金から諸費用として差し引かれるものだと勘違いをしている方がいらっしゃいますが、引っ越し費用は、そもそも債権者(金融機関等)が支払う義務はありません。
多くの債権者は、任意売却をする債務者の現状について、金銭的に余裕がない状態であることを承知しています。住宅ローンが支払えないからこそ、任意売却をするまでに至ったのであり、そのような債務者が引っ越し費用まで用意することは困難ではないかと考えているのです。
そのようなことから、売却代金から引っ越し費用を捻出することは、あくまでも債権者の厚意であることを理解しておきましょう。
引っ越し費用がもらえないケース
引っ越し費用がもらえないケースは当然ながらあります。基本的には、債権者が引っ越し費用を認めるうえで承諾できない理由がある場合です。いくつか例をあげると、「少なくとも貯金がある」「自動車等の資産がある」「金銭的に頼れる身内がいる」等になります。
引っ越し費用は後払い
引っ越し先の住居を賃貸するにあたり、新居の敷金や仲介手数料、1ヶ月分の家賃等を用意しなくてはいけませんが、債権者の合意を得られたとしても、それら全てを賄うことは厳しいでしょう。
任意売却は、通常の不動産売買と同じように、引渡し時に売買代金を受け取ることになります。それが、完了してから引っ越し費用を受け取ることになるので、それまでに引っ越しはすませておく必要があります。そのため、実際には引っ越し費用は立て替える必要があります。それらのことを考えると、引っ越し費用を当てにして動くには無理があるといえます。
まとめ
住宅金融支援機構に至っては、引っ越し費用を認めないようになっていることから、多くの金融機関でも引っ越し費用を渋る傾向が強くなっています。そのようなことを考えると、引っ越し費用を少しでも準備しておく方が良いとされます。
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