結婚生活に終止符を打つことにした方に、必ず知っておいてもらいたい制度が財産分与です。財産分与について知っておかないと、あとで後悔する事になるかもしれません。今回は離婚と財産分与をテーマに解説します。
財産分与とは?
婚姻期間中に、夫婦が共同で築いた財産を均等に分ける事を、財産分与と言います。これは
夫婦それぞれの収入の額に関係なく、半分ずつ分ける事になります。なので、専業主婦もしくは専業主夫として家事を担っていて、家庭の外で稼いでいない人でも請求する権利があります。
財産分与の種類
財産分与は幾つかの種類を分けてみる事が出来ます。順番に解説します。
清算的財産分与
一つ目は、清算的財産分与と呼ばれる物です。これは、最も多く見られる財産分与の形で、婚姻中に夫婦共同で築いた財産を分け合うものです。離婚時に、夫婦共有財産の預貯金が1000万円あった場合、それを半分の500万円ずつ分ける事を言います。
扶養的財産分与
2つ目は、扶養的財産分与です。扶養的財産分与とは、離婚後に元夫又は元妻の生活が苦しくなる事が予想される場合に、扶養する為に行う財産分与の事です。
例えば相手が専業主婦または専業主夫である場合、離婚すると無収入となる事が予想される為、離婚後、毎月10万円を一定期間支払う、などが扶養的財産分与に当たります。
慰謝料的財産分与
最後に挙げる財産分与は、慰謝料的財産分与です。慰謝料的財産分与と言うのは、夫婦どちらかに離婚の原因がある”有責性”があって離婚に至った場合に請求することが出来ます。
代表的な例は、夫婦どちらかが不貞行為を行ったことにより、夫婦仲が破綻して離婚に至るというケースです。
この様な場合、例えば夫婦共有で築いた財産を等分に分配するのではなく、一方がもう一方に数百万円支払う、と言う様な形になります。但し、慰謝料的財産分与を行った場合は、別途慰謝料を請求する事は出来なくなるため、注意が必要です。
どの様な財産が財産分与の対象になるのか?
ここからは、どの様な財産が財産分与の対象になるのかを順番に見ていきましょう。
預貯金
預貯金は、夫婦どちらの名義であったとしても、等分に分配されます。子ども名義の預貯金がある場合はそれも財産分与の対象になります。
生命保険
積立型の生命保険に加入している場合、これは財産分与の対象になります。仮に結婚前から生命保険に加入していた場合は、結婚後に支払った保険料に相応する分の解約返戻金だけが、財産分与の対象になります。
学資保険
子どもの学資保険も、財産分与の対象になる事の多い財産の一つです。子どもの学資保険の積み立ては、ほとんどの場合親が行いますので、学資保険も夫婦共同で築いた財産とみなされます。仮に祖父母などが積み立てていた場合は夫婦共同で築いた財産とはみなされない為、財産分与の対象とはなりません。
株券などの有価証券
株券などの有価証券も財産分与の対象となります。投資信託なども同様です。
退職金
離婚時、既に支払われている退職金は、預貯金に代わっている為、財産分与の対処となります。離婚時にまだ支払われていない退職金が財産分与の対象となるのは、退職時期が離婚後10年以内で、退職金が支払われる
退職金の財産分与が認められるのは、ある程度、退職金が支払われる見込みが高いというケースに限られます。具体的には、退職時期が長くても10年以内であり、退職金が支払われる確実性が高い場合のみとなります。
確実性が高い場合とは、公務員や上場企業の会社員である場合がこれに当たります。個人事業主や零細企業の従業員である場合は、退職金は財産分与の対象にならない場合が多い様です。
不動産
夫婦共同で築いた財産の中でも、不動産は恐らく最大の物になるケースが多いと思われます。不動産も当然の事ながら、財産分与の対象となります。不動産は購入時の価格ではなく、あくまで財産分与を行う時点での価格によって評価されるという点です。
例えば評価額3000万円の家を持っていたとして、その売却費用が300万円掛かったとしたら、残りの2700万円を等分して1350万円ずつ分ける事になります。
婚姻中に住宅ローンで購入し、未だローン完済に至っていない状況で売却を行う場合ではどうなるのでしょうか? そういったケースでは、ローン返済先に当たる債権者の同意を得ながら売却を進める、任意売却という方法を取ることが有効です。マイホームの売却金全額をローン返済に充てることとなります。
任意売却完了後には、残ったローンが完済されなお余りがある状況すなわちアンダーローンと、売上金総額を充ててもなおローン残債があるオーバーローンの、いずれかの状況となります。
アンダーローンの場合は、余った売上金を通常の不動産売却時と同様に離婚当事者双方で原則等分することになるでしょう。
オーバーローンとなってしまった場合ではどうでしょうか? 離婚による財産分与では、プラスの資産と同様、マイナスの資産ついても分割されることが基本です。その観点に則って、他の分与対象財産との兼ね合いを考慮に入れつつ、双方のローン返済負担割合について話し合いで決めていく流れとなります。
まとめ
今回は離婚時に財産分与の対象となる財産についてお伝えしました。不動産はその額も大きく、生活の場でもあったため、処分するのには思い切りも必要となるでしょう。ですがお互いのためにキッチリと処分して、将来に向かい合いましょう。
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