住宅ローンの返済が受けられなくなった債権者は、担保にしている不動産に設定した抵当権を実行することで競売を申し立てることができます。
また、裁判によって債務名義を取得した者も競売の申し立てをすることができ、裁判所が開始決定を下して債務者の不動産などを差押えて競売を行います。
いずれも競売申立書を裁判所に提出することになりますが、申立書には何が記載されるのでしょうか。
競売申立書とは
裁判所では申立てを受けて競売を行います。
したがって競売を行うためには裁判所にその旨申し立てることが必要となります。
この申立てのために必要になるのが競売申立書です。
裁判所で行う不動産の競売には大きく二つあり、抵当権などの担保権が設定された不動産について担保権を実行することによって行われる担保不動産競売と裁判によって債務名義を取得した債権者から申立てが行われる強制競売があります。
この二つの競売を区別するため、競売申立書の表題部に「担保不動産競売申立書」、「強制競売申立書」といったような記載を行います。
競売申立書の記載内容
競売申立書には申立てを行う日付、債権者の名前、当事者として債権者と債務者の名前、請求債権、競売の対象となる目的不動産などの目録を記載します。
担保不動産競売申立書には請求債権と合わせて担保権、被担保債権の目録を記載します。
そして、申立てを行う理由について、担保不動産競売申立書であればどのような担保権に基づく申立てなのか、強制競売申立書であれば取得した債務名義について申立てを行う理由についての記載をし、入札又はせり売りの方法によって売却できなかった場合には特別売却によることについて同意することを記載します。
上記以外では申立書に添付する書類の名称を記載することとなります。
申立書の添付書類
担保不動産競売申立書、強制競売申立書ともに競売の対象となる不動産の登記簿謄本、公課証明書、資格証明書、住民票を添付します。
公課証明書は不動産の所有者、納税義務者などを証明する書類で申立てを行う人であれば役所に交付請求することができます。
資格証明書とは会社の代表者を証明する書面のことで、申立人が個人であれば不要となります。
住民票は申立人のものが必要です。
更に強制競売の場合には執行力ある判決正本と送達証明書・確定証明書を添付する必要があります。
また、場合によっては意見書など上記以外の書類も必要になることがあります。
競売の申立てを行う側も相当な手間を掛けることになりますので、任意売却を検討する場合には競売の申立てが行われる前に行う方が交渉はまとまり易いと言えるでしょう。