不動産に抵当権などが設定されていると債務不履行などによって担保権に基づき競売が申立てられ競売で担保となっている不動産が売却されることになります。競売では一定のルールに基づいて期間入札が行われ、ルールを満たす入札が無い場合には競売は不成立となり、特別売却にて売却が行われます。
■競売不成立のデメリット
競売が行われる目的は債権者が債権の回収を行うことにあります。住宅ローンなどのように抵当権を不動産に設定して返済が行われなくなったら抵当権に基づき不動産の競売を申立てて、競売による当該不動産の売却金額を債権の回収に充当します。
裁判所による不動産の競売は期間入札によって行われ、基本的に当該期間において最も高い入札を行った者が落札者となります。しかし、期間入札を行っても入札が行われないということがあり、そのような場合には競売が不成立となります。
また、入札があっても適切な方法で入札が行われなかったり、入札金額が買受可能価額よりも低かったりする場合にも不成立となります。競売が不成立になると債権者にとっては債権回収の時期が遅れるというデメリットが発生することになります。
■不成立後の動き
競売による売却が不成立となった場合には特別売却が行われる事になります。特別売却は期間入札が不成立となった競売物件について開札期日の翌日から早い者勝ちで売却を行うという制度です。
この特別売却では買受可能価額での買受が可能となります。もし、特別売却でも買受を希望する者が現れなかった場合には、買受可能価額を3割程度引き下げて再び競売を行います。
しかし、再び競売を行うまでには相当の期間を要するほか、競売実施の費用も発生する事となり、債権者の債権回収が大幅に遅れる上に競売にかかる費用が大きくなる事となります。
■早期売却実現のための制度変更
上記のように競売が不成立となると特別売却が行われる事となります。しかし、特別売却でも買受希望者が現れない場合には債権者は債権の回収が大きく遅れる事となります。
このような事態を出来るだけ避け、債権回収が早まるように売却価格の最低ラインが制度変更されたのが平成17年になります。それまでは最低売却価額を上回る入札がなければ競売が不成立となりましたが、最低売却価額の水準を売却基準価額とし売却基準価額から2割低い金額を買受可能価額とし、買受可能価額以上の入札であれば落札可能となりました。
これにより従来よりも入札参加がしやすくなり、競売による早期売却の可能性が高くなり、不成立によって債権者が不利益を受ける機会が少なくなりました。