相続

生前贈与を使って相続税対策

平成27年に相続税が大きく改正されたために、従来よりも多くの人に相続税が課されるようになりました。少子化傾向も顕著である事から、ますます相続税対策の重要性が増していく事となるでしょう。相続税対策として生前贈与を使う方法があります。

■高まる相続税対策の必要性

平成27年の相続税の改正では、基礎控除額が大きく改正されました。基礎控除額とは、相続税の計算において遺産の評価額から控除できる金額の事です。改正前は5000万円に法定相続人の数に1000万円を乗じた金額を加えた額を基礎控除額とする事が出来ましたが、3000万円に法定相続人の数に600万円を乗じた金額を加えた額に改正されました。

もし、法定相続人が配偶者と子1人であれば、改正前で7000万円であった基礎控除額は4200万円となり、2800万円も相続税の課税対象となる事になるのです。この改正によって相続税の対象となる相続の件数は大幅に増加し、相続税対策が従来よりも身近なものになったと言えます。相続税対策として生前贈与を使う方法があります。

■生前贈与を使った相続税対策

生前贈与を使った方法で最もポピュラーなのは贈与税の基礎控除を利用した贈与です。贈与にも基礎控除が認められており、1年で110万円以下の贈与には贈与税が課税されません。
住宅取得資金贈与の特例といって、子供が居住するための住宅資金を親から贈与してもらう方法です。条件にもよりますが、最大で3000万円までが贈与税の対象となりません。

夫婦の婚姻期間が20年超であれば、夫婦間贈与の特例が適用できます。居住用財産の配偶者間の贈与で2000万円までは贈与税が課税されません。
教育資金贈与の特例では、30歳未満の子供や孫に対して1500万円までの教育資金を贈与税の負担無しで贈与する事が認められています。また、結婚子育て資金として20歳から49歳までの子供や孫に対して、結婚資金であれば300万円、子育て資金であれば1000万円まで贈与税が課税されません。

上記以外に相続時精算課税制度というものがあり、当該特例を適用すると2500万円まで贈与税は非課税となりますが、相続税の対象とはなりますので注意が必要です。さらに当該特例を適用すると贈与税の基礎控除の適用が将来に渡って適用する事が出来なくなります。

■早目の対応と専門家への相談

相続税対策は早めが求められます。相続開始前の3年以内に行われた贈与は相続財産に含めなければならないためです。また、相続税と贈与税は難しい点が多く、その計算も複雑です。このため相続税、贈与税に詳しい税理士などに相続税対策を相談するのがお勧めです。あやふやな知識で対応していると、税務署から指摘や是正が求められる事もありますので相続税対策は慎重に行いましょう。

ピックアップ記事

  1. 在宅ローンの老後破産リスクは任意売却で回避しよう
  2. 不動産の投資で不労所得生活を始めていくために考えること
  3. 相続時に名義変更をしないとどうなる?
  4. マイホームを手放すことになってしまったら
  5. 実は厳しい税金滞納への対応

関連記事

  1. 相続

    ローンの返済中に相続が発生したらどうなる?

    相続は現金や不動産などの財産だけでなく、借金などの負債も対象となります…

  2. 相続

    相続税における債務控除の注意点

    相続税は課税対象となる遺産の額に税率を乗じて求められます。なお、この課…

  3. 相続

    相続放棄された土地を購入する際の注意点

    相続が発生した場合に全ての相続人が相続放棄をした場合、被相続人が所有し…

  4. 相続

    相続税の延滞によって発生する税金とは

    相続税は相続が開始された日から10カ月以内に申告と納税を行わなければな…

  5. 相続

    相続するのが配偶者のみの場合の事例参照

    遺産の相続には様々なケースが存在する為に一概には、簡単に説明できるもの…

  6. 相続

    相続における障害者控除の内容と控除額

    障害を持つ方は一般的に経済力に厳しい状況であり、親族の援助などに頼らざ…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 不動産基礎知識

    競売による買受人の引き渡しでの注意点
  2. 離婚と不動産

    離婚した後の住まいと公的支援について
  3. 債務整理

    競売物件の転売について
  4. 不動産基礎知識

    競売の費用負担は誰がするの?
  5. 賃貸オーナー様

    賃貸物件の管理費とその相場を知る
PAGE TOP