一般的な不動産を売却する場合や競売による売却でも、土地と建物が別々に売られる場合があります。それぞれに権利を有するのですが、所有者が違う事によって法定地上権が認められる可能性があるのです。土地だけの競売と法定地上権の関係について紹介していきます。
法定地上権が意味する事
一般的な不動産の売買は、土地と建物をセットで取引する場合が多いです。しかし、場合によっては、別々の権利として取引される事も少なくないのです。
それぞれに権利が独立したものですが、特に建物の所有者にとっては土地の権利が変な解釈によって、自分の土地に立ち入る事を禁ずる事を防ぐ為に「法定地上権」によって、建物を所有する権利に土地を使用する権利を含むなど、建物の所有者を保護する為の優遇措置が法律によって守られている訳です。
同じように、抵当権についても別々に設定する事が可能になっていますので、競売で取引される場合でも、権利の所有は別物とするべきです。
このように別々に取引される場合には、特に土地だけの場合となると、土地を自由に取引出来ない事もあって、買手がつきにくいケースになります。
法定地上権の条件の確認が必要
建物の権利には定められた条件があるので確認しましょう。
1. 抵当権を設定した以前に建物が存在している事。
2. 抵当権を設定した時に、両方の所有者が同じである事。
3. 抵当権を設定が、両方あるいは、どちらか一方に設定された場合。
4. 競売によって土地と建物の所有者が違う場合。
異なる所有権による注意点
建物に対して登記がなされていない場合については、建物の存在自体が確認出来る事で所有権を主張する登記がなされていなくても、法定地上権の条件があてはまれば、その権利が成立する事になっています。
これにより、土地のみの競売であったり建物だけ競売であったりした状況でも、競売で落札されて所有権が分かれた状態になった時点で、法定地上権が認められる状況になるのです。
土地代の決定には話し合いが必須
それぞれの所有者が別になった場合には、土地代のやり取りを決める事になります。建物の所有者は地上権を認められる代わりに、土地を使用する代金を支払う必要があります。
特に定められた事ではないのですが、土地の使用料金についての意義や合意がなされなかった状況では、「地代確定請求訴訟」を起こして裁判所に決めてもらう事が出来ます。
お互いにまわりの相場を検討して話し合いで解決する方が、無駄な時間と費用を省く事を理解して欲しいです。
裁判所による具体例
①固定資産税から3倍から4倍で決める。
②更地の評価額を検討して、その価格の1%で決定する。
※借地契約は30年または30年以上で契約されており、その期間中は契約による権利が守られ、期間の継続も法定更新が参考となります。
一括競売が出来る場合について
何もない土地に対して抵当権がすでに設定されている場合に、その後に建物が立てられた場合には、法定地上権として認められていないのです。
債権者の権利として、土地と建物を一括で競売する事が認められています。この場合にも、土地と建物が別になってしまうので、この状態を一括競売する事で売却された土地に代金については、債権者が優先的な権利で回収する事が出来ます。
残りの金額は余剰金あるいは建物の所有者の権利として、債務者または所有者に支払われる事になります。
まとめ
土地だけの競売においては、安く取引されるので買手にとっては、一見お買い得のように思えますが、法定地上権がある事で土地の有効利用が出来ない事や、建物の所有権が借地権の中でもより強い権利になっているので、売る側にとっても買う側にとっても課題が残る事を認識した方が良いのです。
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