住宅ローン滞納の切り札として、任意売却をしたものの残債がある場合は、今後どうやって返していくのかが問題となっていきます。一気に返すとしてもそれだけの資金は残らず、自己破産だけは回避するといった条件を背負いながらどうやって解決するのでしょうか。
今回は、任意売却後の残債について話していきましょう。
物件を売ったその後
残債はそもそも、任意売却をした後に残るローンの額であり、借金としての役割はまだまだ生きていると言ってもいいでしょう。
多くの方が誤解するのは、任意売却をしたからと言って、ローンの残額は残ってないだろうといった考えです。しかしそれは全くの誤解であるわけで、物件を売却した分から各種経費を差し引いた額を返済額に割り当て、それでもまだローンの返済額が残っているケースもあるのです。
残高が残っていなければその時点で任意売却は終了しますが、もし残っていたらその額を返済しなければならない義務が生じ、借入金としてもまだまだ生きているためすべての問題は解決に至っていないわけです。
しかし、金融機関(いわゆる債権者)からの承諾を得ていますので抵当権に関しては残債の有無問わず抹消できるため、この時点ですでに物件の売却が成立する状態だと言えるわけです。
返せる範囲でもよい
では、返済に向けてどのように交渉すべきなのか話していきましょう。「残債は一度に返す」といったやり方だとあまりにも乱暴ですし、債務者からすればそれは無理な話にしかすぎません。
債権者からすれば債務者も返済の意思はあるなと判断できるでしょうし、一度に返せるだけの財力を有していないのですから、互いに交渉していけば解決の糸口は見つかるだろう、といった具合で今後の処遇についての協議を進めていきます。
返済するとしても無理のない範囲内で払い続ける旨を記した生活状況書を作成し、双方保管の上毎月の支払額はいくらなのかを記載するわけです。月給から生活費などを引いて残った額のうち、どのくらいなら払えるといった内容で進めていくほか、収入が増えたらその都度再調整でき、自力で再生可能の意思があるものとして扱われるのが個人再生であり、それ以外にも残債が少額の場合でも適用されます。
残債の行方
個人再生については前述のとおりですが、残債額が高額である場合、全額返済は困難な状態になります。当然ながら残債に加算されるのが遅延損害金であり、その額は高額であるとされています。
債権者からすれば一種の損害を受けたのですから、債務者に対するペナルティが課せられるわけです。その後は債権回収会社である「サービサー」へと譲渡され、今後の返済について、債務者との協議を行うのが役割です。
債務整理の種類
先に話した個人再生以外の方法を述べるとしたら、任意整理と自己破産があり、後者の場合は返済義務について完全に喪失しますが、デメリットとしてはクレジットカードなどが、ある一定の期間作れなくなるほか、各種ローンの利用も組めなくなるリスクも高くなるだけです。それ以外にも、信用情報機関における個人信用情報には事故扱いの情報として記載され、金融機関での融資が困難になるといった危険性が高くなるわけです。
前者は過払い金やその返還請求などがあり、利息に対して将来的にカットされるため、遅延損害金が高額であろうともそれが加算される心配はなくなり、ある一定額での返済が可能であるわけです。個人再生に関しての補足をするならば、仕事などで車を使う方もいるでしょうが、その人たちに対する配慮がされており、資産を所有したままでの残債の減額が可能であるわけです。
まとめ
任意売却における残債についての話をしました。自力で再生できるケースもあれば任意整理や自己破産などといった方法もあるのですが、これらの方法を選ぶとした場合はよく考えてから決めておきたいところです。自分で解決できる事には限りがあるので、そのための任意売却専門業者の力が必要となるのです。
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