不動産競売を行うには多くの手続きが必要になりますが、一般の競売物件と異なり、落札した後の「所有権移転登記」や「抵当権抹消登記」といった、大変な手続きは裁判所が行います。しかし、契約書について正しく理解していなければ、思わぬ出費やトラブルに見舞われることになります。今回はその中でも、重要な売買契約書について解説していきます。
競売物件を落札した後の手続き
落札後に裁判所の口座に補償金を差し引いた落札代金を納付することで、買受人と認められます。買受人になった後は、債務者との間に売買契約を締結するために売買契約書を準備する必要があります。
納付後に契約書を準備する理由として、裁判所から買受人と認められた後、代金の納付を行うことで買受人として所有権が移転します。ですが、競売によって買い取る物件に関して、納付するまでは確実に買受人となる保証はないため、競り落とす前に売買契約を締結するのは認められていないからです。
売買契約における買受人の権利
競売物件の売買契約で買受人は、「契約の解除」「代金の減額の請求」という権利を債務者に対して行うことができます。しかし、競売物件の場合これらが認められるのは、限定的なものになります。
事故物件を購入してしまったとき
一般の売り買い契約の特徴に「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」という項目があり、購入後に瑕疵が見つかった時、損害賠償を請求することができますが、競売物件では個人同士の売買契約と異なり、一切の瑕疵に対し取り扱われません。
理由として挙げられるのは、競売物件の瑕疵は調査が不十分のため、競売にかけられている段階では判明しないことが多いです。物件の調査結果は、「物件明細書」「評価書」「現況調査報告書」という競売3点セットから確認できますが、内覧のような直接物件を見て検討することができません。
さらに、裁判所の調査から3~6か月後に競売にかけられるので、その期間に問題が起こったとしても対処できないからです。裁判所側も強制競売の信頼性や一般市場の価格より安く落札できるという理由から、やむを得ないと考えられています。
例外として、権利に対する瑕疵(競売3点セットの内容に重大な誤りがあった場合等)があった場合、公平性にかけ買受人に大きな不利益を与えるという理由から、売却の不許可の決定や売却許可決定が認められます。
まとめ
競売に必要な契約書は一般の不動産取引と違い、独自性の高い契約内容となっています。競売物件は格安で建物を購入できる分リスクが伴うため、本項の契約書の内容をしっかり把握しておくといった対策だけでは、万全な取引を行うのは難しいです。競売物件の入札でお悩みの方は、お一人で抱え込まず専門の業者に一度ご相談をすることをお勧めします。
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