不動産競売の情報をチェックしている時に、「令和〇〇年(ケ)第〇〇号」といった事件番号を目にしたことはありませんか。この中の(ケ)という記号の他に(ヌ)もあります。今回は(ケ)と(ヌ)の違いと、入札の注意点について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
不動産競売は2種類ある
不動産競売には、「担保不動産競売」と「強制競売」の2種類があります。担保不動産競売の場合は(ケ)、強制競売の場合は(ヌ)で表記されます。この(ケ)と(ヌ)には重要な意味があります。
(ケ)の担保不動産競売とは
「不動産担保」に基づいた競売申請で、抵当権・根(ね)抵当権の実行がされた物件の売却を意味しています。この競売物件には、次のような経緯があります。
債権者(銀行などの金融機関)は、住宅ローンの滞納が続いている債務者に対して、債務回収のために抵当権を行使します。
債権者は債務者の所有する不動産を(裁判所を通して)強制的に売却します。この売却代金を残りの住宅ローンに充当させることで、債権回収を図ります。
事件番号(ケ)に分類される担保不動産は、そのような手続きが行われた物件ということです。
競売物件のほとんどがこの(ケ)の担保不動産競売で、落札後にトラブルになるケースは比較的少ないと言われています。
(ヌ)の強制競売とは
強制競売とは裁判の判決や公正証書などの「債務名義」に基づいて、債権者により裁判所を通して強制的に売却された物件のことです。(ケ)の物件に比べ(ヌ)の物件は少数です。また不動産の権利関係が複雑だったり引き渡しに中々応じなかったりと、一筋縄ではいかない場合が多く見られます。
入札を検討されているなら(ケ)の物件をオススメします。ちなみに「事件番号」とは一般用語で使われる犯罪事件のような「事件」が起きた物件、というわけではありません。事件番号の事件とは一般的な案件にあたり、法令用語でいうと事件になります。
入札の注意点
競売物件は一般市場の相場よりも、5割~7割ほど安く購入できることが一番のメリットです。しかし注意点もあります。入札の注意点をいくつか以下に紹介します。
●必ず落札できるとは限らない
●建物の内見が出来ない
●欠陥があっても入札の取り消しや損害賠償の請求ができない
●占有者や所有者が居座った場合は自身で交渉しなければならない
入札代行を依頼するという選択
競売物件は事前に内見ができません。そのため落札後に欠陥が見つかったり、占有者とのトラブルが発生したりする可能性もあります。これらのデメリットが起こった場合、全て自己責任で対処しなければなりません。
しかし不動産会社や不動産の専門家に入札の代行を依頼する、という方法もあります。大きなトラブルに見舞われずに済むように、専門的な知識と経験が豊富な不動産会社などを利用するのも一つの手です。
まとめ
競売物件の入札をする際は(ケ)や(ヌ)の違いや、リスクなども十分理解して入札を行いましょう。また不動産会社などに競売の入札代行を依頼するという方法もあります。その場合は代行内容や手数料などもしっかり確認し、信頼できる不動産会社を選びましょう。
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