競売による売却手続きを中止させたり、終了させたりするものには取下や取消などがありますが、中断させる方法として「延期」というものがあります。この延期の手続きとはどのようなものでしょうか。
■競売における延期の手続きとは
競売の手続きが進むなかで、申立債権者が延期申請を行うことによって執行裁判所の職権で期間入札の時期を延期することができます。この手続きは通常、任意売却などの交渉が進捗している場合に交渉がまとまるのが開札日以後であるときに行われることが多い手続きです。
競売を申立てた債権者としても競売による売却よりも良い条件で売却が決まりそうだということであれば、取下げとまでいかないものの様子を見るために一旦期間入札の実施を延期しても良いと判断することは多いと考えます。
■期間入札延期の条件
期間入札実施の延期とは言っても無期限に延期を認めてしまうと競売の執行について秩序が乱れる恐れもあることから、延期を認めるにしても期限などの条件を付すことが多いです。
また、申請の期限についても期間入札の公告が行われる前までと決められています。これは期間入札の公告が行われた後となると、買受希望者が物件明細書、現況調査報告書、評価書などの3点セットの確認を終えて、入札のための物件調査に入っている可能性があり、これらの作業が無駄に終わってしまうことによって競売の期間入札のシステム自体に不信感を持たれないようにするためだと考えられます。
なお、入札期間等が定められたときは、裁判所書記官によって債権者、債務者等の法で定められた関係者に対し、公告前に入札期間等の通知がなされますが、この通知の際に期間入札の延期申請ができる最終期限についても一緒に通知されるようになっています。
■延期から取下げになる流れ
競売の申立債権者から延期申請がなされ、延期の期間中に任意売却が成立するなどして競売による売却を進める必要が無くなれば取下げの申立てが行われて競売手続きは終了することになるのが一般的です。もし、仮に延期の申請がなされないまま期間入札が行われ、開札が行われたとしたら、最高価格買受申出人と次順位買受申出人の同意を必要とすることから競売の取下げは大変難しくなります。
任意売却で交渉がまとまりそうなのが開札日よりも後ということであれば、競売の申立債権者に状況を説明し、期間入札の公告前であれば、まずは延期の申請をして貰えないかお願いしてみてください。
話の内容によっては債権者も期間入札実施時期の延期ならば対応してくれる可能性は十分にあります。大切な財産を少しでも良い条件で売却できるように最後まで諦めずに交渉するようにしましょう。