夫婦とは、他人同士が婚姻という契約に基づいて構築された関係であり、婚姻関係が無ければ他人ということになります。
離婚は、婚姻関係を解消して他人となることを意味しますが、離婚が相続に与える影響にはどのようなものがあるのでしょうか。
■常に相続人となる配偶者
婚姻関係で結ばれた相手を配偶者といいます。配偶者は、その相手の死亡によって相続が発生した場合に常に相続人となります。しかし、これは相続発生時に婚姻関係にあったことが必要であり、事実婚といった婚姻関係が無くとも実質的に夫婦であったということを主張しても配偶者とはならないために相続人となることはできません。
相続発生の直前に離婚をしていた場合であっても相続発生時には婚姻関係が既に解消されていることから相続人になることはできません。
■配偶者と子供
離婚した配偶者との間に子供がいた場合にはどのような扱いになるのでしょうか。子は第一順位の相続人であり、配偶者との婚姻関係の有無、親権などの有無は関係なく、相続人となります。
結婚した配偶者にいわゆる連れ子がいる場合にはどうでしょうか。連れ子と被相続人との間には一切の血縁関係はありませんが、配偶者との間で婚姻関係が成立すれば、自動的に連れ子も法定相続人になるかというとそういう訳ではありません。
連れ子が相続人となるためには、連れ子と被相続人の間で養子縁組を行っていたことが必要となります。この養子縁組を行う前に相続が発生した場合には、連れ子は民法上でも相続税法上でも相続人になることはできません。
ここでポイントとなるのは、相続税法上における基礎控除額の計算では、実子がいる場合には一人までと定められており、実子が存しない場合には2人までであるということです。一方で民法上における養子には際限はありません。
■トラブルになり易い相続や離婚
相続や離婚ではトラブルが発生しやすいものです。このような事態の発生を避けるために有効な手段として遺言書の作成があります。ただし、遺言書の効力を間違いなく発揮させるためには、遺言作成のルールをしっかり守らければいけないため注意が必要です。
また、相続では遺留分といって一定の相続人には最低限の遺産が認められていますので、この遺留分について考慮した遺言書の作成をしなければいけません。
トラブルのなかには不動産などの分割で折り合いが付かなくなり、最終的には不動産を売却して得たお金を相続人で分割するというような方法が用いられます。
相続や離婚などでトラブルを回避するためには、相続発生の前から準備することでスムーズに事が運びますので是非早目に対応されることをお勧めします。