落札された競売物件は、買受人が代金を裁判所に納付した時点で主有権は買受人に移転する事になりますが、実質的にその物件を、明け渡してまでの流れをご説明してみましょう。
競売の落札から居住者の立ち退きまで
競売後、その物件に居住者がいる場合、その居住者が直ちに立ち退いてくれれば、問題は無いのですが、立ち退きが進まない場合は、まず裁判所による「不動産引渡命令」を直ちに申し立てることが出来ます。この「不動産引渡命令」が出されるまでに、2週間ほど時間がかかるようです。
不動産引渡命令
申立ては、不動産の代金を納付した日(ただし、※明渡猶予が認められる場合は6か月経過後)から直ちにできますが、その期間は納付日から6か月以内(明渡猶予が認められる場合は9か月以内)に限られています。
※明渡猶予とは
明渡猶予は平成16年に民法の改正により定められた制度です。
賃貸物件に入居している住民は、その物件が競売にかけられ落札された場合は、その買受人にから明け渡しを要求された際には、その要求に応えざるを得ませんが、その際即時に明け渡すことは事実上困難である事から、ある一定の期間明け渡しを猶予するという制度です。
その期間は、買受人が落札金額を納付した日より6ヶ月が経過するまでとなっています。また、「抵当権者の同意により賃借権に対抗力を与える制度」という物もあります。
したがって、最長でも法的にはこの期間が過ぎますと強制執行を裁判所に申し立てる事が出来るようになります。
不服申立(執行抗告)が出た場合
買受人は賃貸契約者などから、裁判所に不服申立などが行われた場合、裁判となる場合があります。裁判となった場合には、その裁判の判決が出るまで引渡命令は確定とはなりません。そうならない為にも、前段階でよく話し合いをする事も重要かも知れません。
強制執行
全ての手続きが終えたにも関わらず、立ち退きに応じない場合は、裁判所に「強制執行」を申し出てこれを行うのが最終手段です。「強制執行」が認められた場合、裁判所の執行官や執行補助者がまず催告を行います。これは何時までに明け渡すかを告げる事です。通常「明け渡し催告」と言います。それでもこれに応じていただけない場合は、「強制執行」の断行という事になります。
競売物件のリスク
何事もなければ競売物件でも競売終了後、落札金額を納付時点でその物件に住める権利は保有しますが、問題が起きて、もし裁判にでもなれば相当な期間その物件に住むことは出来ません。
また思わぬ出費に繋がらないとも言えません。そのため、競売物件の購入をお考えの際にはよく調べる事が必要です。しかしながら、個人で調べるには時間と手間が相当かかる事は覚悟しておく必要があるかも知れません。
まとめ
トラブルの無い物件を探すこともとても大事ですね。そのように、トラブルや事故が起きないように競売物件に入札する際には、個人での入札に関しても豊富な知識と経験を持った不動産会社にお願いするのも良い方法であると思います。
不動産のことに関して何か疑問や困りごとがありましたら、お気軽に「アブローズ」までご相談ください。