賃貸アパートやマンションの競売が行われた場合には、何も知らずに住んでいる人たちがいる事でしょう。賃借人たちには毎月の支払いをしているのですから、当然の事として住み続けられるものと信じています。賃貸物件に住む人たちの権利について紹介しましょう。
競売物件での、住み続ける権利は
競売を落札した人はアパートやマンションの新しい大家となるわけです。このような物件は、借家権とともに、アパートの住人に対する「賃借権」(大家として家賃を頂く権利)も自動的に移行する事になっています。新しい大家となる競売の購入者が、そのまま住人たちから家賃を頂いて以前と変わりになく賃貸経営に参加する事も可能です。ここで問題となるのは、新しい所有者が別の使い道を考えた場合に住人に対して立ち退きを迫る場合もあると言う事です。
※借家権は借地借家法による法律です。
借家権の対抗(どちらが主張出来るのか)
アパートの住人たちが新しい大家に対して、住み続けることを主張(対抗)出来るのかどうかは、「借地借家法」で定められています。通常の物件の売買では、賃貸借契約の内容全部を含み主張する事が出来ます。
競売の売買でも基本的な権利は変わらないのですが、この場合の元の所有者は負債を抱えた為にその権利を債権者である金融機関などが、「担保権」や「抵当権」を主張する事になるのです。では、住んでいる住人とこの抵当権、どちらが優先されるかと言うと「抵当権」を優先します。
※「抵当権」を主張できるかどうかは、設定の時期によって決まります。
抵当権が先に設定された場合
アパート住人たちの借家権よりも抵当権が優先しますので、先の大家と交わした賃貸借契約通りに住む事も可能ですが、新しい大家は立ち退きを迫る主張も出来ます。この場合には、6カ月の猶予を持って立ち退かなければなりません。
抵当権が後に設定された場合
このようなケースもあるので、アパートやマンションの賃借権の登記が担保権や抵当権よりも先の場合には、借家権によって住み続ける権利を主張出来るのです。この場合は、元の大家との賃貸借契約は、同じ条件で引き継がれる事になります。アパートなどの契約期間中に値上げや再契約は出来ませんが、更新時に関しては正当な理由があれば、値上げや更新料に関して交渉出来る機会はあります。
※敷金あるいは保証金の請求は、元の大家に請求すべきですが、元の大家の経済状況では、返済する能力はない為に、どちらの権利が優先しても敷金が返還される可能性は難しいのです。
アパートやマンションを購入する目的
競売によって手に入れた物件が賃貸経営の目的であるならば、そのまま「賃借権」を引き継いで、今いる住人に住み続けてもらう方が、広告費など住人募集の手間がいらないので、有効的に活用出来る利点があります。敷金に関しては、それぞれの契約期間の更新時に再契約して、新たに敷金を頂戴するなどの対応は必要になります。それでも退居する住人がいるのであれば、リフォームするなり、新しい活用法を見つける事です。
まとめ
競売によって所有する事が出来たアパートやマンションの住人に対する権利について、抵当権と賃借権の関係を紹介しました。どちらの権利を優先するかは抵当権の設定時期によって異なります。有効活用する為にも、住人との関係をどうすべきか考える事が重要なのです。
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