債務整理

入札側も債務者側も知っておくと役立つ、裁判所が行う競売のプロセス

競売とは、債務者が不動産物件のローンを返済できなくなったときに裁判所が行う債務弁済措置です。債権者側からの申し立てにより裁判所は競売を開始しますが、その手続きのプロセスを知っておくと万が一ローン滞納した際や競売物件を購入したいときに役立ちます。

期限の利益の喪失

住宅ローンを6か月以上滞納すると「期限の利益を喪失」し、債権者から、保証会社へ請求権が移ります。保証会社は権利が移ると、債権者に債務者が支払う必要があるローン残高すべてを一括で支払います。

これ以降、債務者側は分割支払いが一切できなくなり、現金で一括の支払いを強制されます。支払いができない場合は、不動産物件は競売にかけられてしまいます。

競売が行われる手順

ローン滞納が長期にわたり続いた場合、債権者が裁判所に不動産差し押さえの申し立てを行い不動産競売開始が決定します。その後、裁判所の執行官と不動産鑑定士による物件の状況調査が行われ、売却基準額が決められます。

公告3点セットと呼ばれる、買受人が引き受ける権利や情報を記載する「物件明細書」、不動産の写真と占有者や権原について記された「現況調査報告書」、不動産の評価額と図面などがわかる「評価書」が揃うと裁判所によって決められた期日に開札が始まります。

入札前の注意点

競売物件を購入したい場合に注意すべき点として、入札する際は裁判所の定めた買受申出保証金を支払う必要があり、期限までに落札金額を納付できない場合、保証金は没収されることを念頭に置いておきましょう。

売却決定後は、代金納付と所有権移転登記用の登録免許税と切手代の支払い、占有者が退去しない場合は退去執行の費用を買受人が負担します。

自宅が競売にかけられたら

競売の売却金額は一般市場価格の7割ほどと、非常に低く取引されます。少ない金額で売却されてしまうと、借金が完済できないという地獄が待っています。しかし、競売の開札日の二日前までに「任意売却」の申し出を行い、債権者から同意を得られれば市場価格に近い金額で売却することができます。

任意売却とは

任意売却とは、債権者・金融機関・不動産業者の協力のもとに一般市場で不動産売却を進めることです。競売と違い、購入希望者は内覧が可能ですので、売却額は競売時より高くなります。物件の明け渡し時期を相談で決めることができ、競売公告が出ないため、ご近所に自宅が競売にかけられている事を知られる心配もありません。

まとめ

競売で物件の落札を考えている方は、落札した金額以外にも手数料や保証金が必要なことを計算したうえで入札するようにしましょう。競売による裁判所の介入は、通常の不動産売買と異なります。競売物件に瑕疵があったとして落札した購入者は補償が得られないことも忘れてはいけません。

競売に関する事や不動産の事なら全ておまかせ、ご相談も「アブローズ」までご一報を下さい。

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