不動産が競売に掛けられるととても安い金額で売却されてしまい、最終的にはマイホームを退去するしかないと諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。
実際に競売に掛かってしまうとそこで諦めてしまい自暴自棄になってしまう方も少なからずいらっしゃいますし、家の掃除なども気が入らず家のなかが荒れてしまうということも良く聞きます。しかし、諦めることなく取り下げてもらい競売を回避する人もいます。
競売の事件数の減少
不動産を扱う競売には抵当権などの担保権の実行としての競売と債務名義に基づき不動産に対して行う強制競売のふたつがあります。不動産競売の事件数はここ数年で急激に減っていて、担保権の実行による競売では毎年6万件ほどあった平成20年前後と比較すると3~4割程度にまで減少しており、強制競売でも担保権実行の競売ほどではないですが、平成20年前と比較すると8割程度まで減少しています。
このように事件数が減少傾向にある競売ですが、終結する案件、取り下げになる案件の割合は大きく変わっていません。
競売による売却の動向
担保権に基づく競売が終結に至るのは総事件数の概ね70%強であり、取り下げになるのは概ね20%強です。強制競売では終結に至るのが概ね30%弱であり、取り下げになるのは概ね50%強です。この傾向はここ平成18年から平成27年まで続いており大きくは変わっていません。
しかし、担保権の実行による競売と強制競売とでは終結と取り下げの割合が大きく異なっていることが分かります。これは強制競売が借金などの返済を受けられない債権者が裁判などによって債務者の持っている資産を競売に掛ける権利を得て行われるのですが、自宅などが競売に掛かると借金を返済する債務者が多いことが原因だと考えられます。
一方、担保権の実行による競売では取り下げの割合が少なくなっています。これは抵当権が実行されるまで借金などに対して特段の手当をしない人はそのまま売却まで何もしないことが多いということが予想されます。
担保権の実行による競売件数の減少
担保権の実行による競売の事件数は大幅に減少していますが、これは競売以外の方法で借金の問題を解決している人が増えたことが考えられます。金融機関の姿勢も柔軟となり、ローンの返済に困っている債務者から相談があれば、返済計画の見直しなどに応じるケースがあることも減少の要因でしょう。
したがって競売を回避したい場合には、債権者から申し立てが行われる前に行動を起こすことで可能性は高くなると推測されます。もし、申し立てがされてしまっても取り下げて貰える可能性もありますので諦めないことが何よりも大切だといえます。