不動産基礎知識

不動産競売など債権回収を見据えた抵当権の設定

住宅ローンの借入を金融機関から行うと、通常はマイホームに抵当権の設定を求められます。住宅ローンの返済が困難になったとき、金融機関はこの抵当権の実行をして強制的に売却をして得た代金で債権回収を図ることになりますので、金融機関にとっては大変重要な権利となります。

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抵当権の特徴
抵当権には、所有者は債権者である抵当権者に抵当権を設定した不動産を引き渡す必要がなく、所有者がそのまま使い続けることができるという特徴があります。また次のような性質があり、金融機関にとって使い勝手の良い担保機能を有した権利だといえます。
物上代位性
抵当権設定の目的物であるマイホームが売却代金や火災などで滅失した場合の保険金などを債権回収の目的で差し押さえることができます。
不可分性
債務の弁済が完了するまで抵当権は当初設定した目的物全体に及ぶという性質です。半分の返済が終わったからといって抵当権の効力の及ぶ範囲が土地の半分になるということにはなりません。
随伴性
債権の譲渡に伴い、抵当権もそれに伴うという性質です。
付従性
抵当権で担保する債務が消滅すれば抵当権も消滅するという性質です。

抵当権の順位
金融機関が設定する住宅ローンの抵当権の順位は第1順位とすることを条件とするのが通常です。抵当権には順位があり、順位が早い方が優位となります。住宅ローンの返済ができなくなり競売が行われた場合の売却金額は、第1順位の抵当権者から配当が行われ、余りがあれば次順位の抵当権者へ配当されます。
競売による配当は早いもの勝ちではなく、このように法律に基づいて配当が行われ、第2順位の抵当権者が抵当権の実行をしたとしても配当は第1順位の抵当権者から行われることとなります。金融機関が第1順位に拘るのはこのような理由もあるからなのです。

抵当権の実行による不動産競売の開始
債務者による住宅ローンの返済が滞ってしまうと、債権者は抵当権の実行をして債権の回収を図ることとなります。抵当権の実行には、「抵当権の存在」、「被担保債権の存在」、「被担保債権の履行遅滞」の3つの要件を満たすことが必要です。
抵当権は登記簿に設定登記がされており、被担保債権は住宅ローンの残債です。したがって、ローンの返済滞納が始まってしまうと、不動産競売の3つの要件は満たされることとなり、競売の実行は債権者次第ということになります。
このように住宅ローンの借入で金融機関による抵当権は大きな意味を持つことになります。
返済が滞りなく行われている間は抵当権の存在をあまり意識することはありませんが、滞納が始まってしまうとその存在が大きなものであることを実感せざるを得ないこととなります。返済が滞ってしまう前に金融機関へ相談されることをお勧めします。マイホームを売却することも検討に入れざるを得ない場合には、競売以外の選択として任意売却という方法がありますので、是非、そのメリットなども確認のうえ検討してみては如何でしょうか。

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