住宅ローン返済の滞納を続けていると抵当権が設定されているマイホームの差し押さえが行われることとなりますが、この差し押さえが行われるとどのようなことになるのでしょうか。
物件差し押さえの目的
不動産の差し押さえの目的は、公権力により私人の持つ財産や権利を処分することを制限して、売却してお金に換えることができる状態にしておくことをいい、通常、民事執行法又は行政法のいずれかを根拠法として行われます。
個人で金銭の貸し借りを行い、返済が滞ったからといって個人が勝手に他人の財産を差し押さえることはできません。個人の勝手な差し押さえを認めてしまうと社会秩序が乱れる恐れもあることから法は「自力救済」を認めていないためです。したがって民間の債務債権による差押えは必ず司法の力を必要とすることになります。
差し押さえの性質
差し押さえの性質のひとつとしてマイホームが差し押さえられたとしても退去する必要はなく、住み続けることが可能です。ただし、競売や公売などによって他人の所有となってしまった場合には、退去しなければいけません。
また、売買が禁止されている訳ではなく、所有権の移転登記も可能です。しかし、競売や公売による買受人に、売買による取得を主張することはできないため、結局は差し押さえが優先されることとなります。
差し押さえはいつどのようにされるのか?
民事執行法では、強制執行と担保権の実行で少し手順が異なります。強制執行では、まず裁判での勝利や公正証書などをもとに裁判所に差し押さえを申し出ることになります。このとき他の担保権などにより売却を行っても配当が見込めない場合には差し押さえの意味が無くなるので注意が必要です。
担保権の実行では滞納の事実をもって申立てを行うこととなります。これにより裁判所が差し押さえを行い、登記簿に競売を原因とする差し押さえの登記がされることになります。
行政法での差し押さえは、税金等の滞納者に対して差押調書の謄本を送達することで行われ、税務署長などが法務局へ差し押さえの登記の委託を行います。
差し押さえの解除は可能?
競売や公売ではなく、任意売却を行うことを検討する場合には、差し押さえの解除をしなければいけません。差し押さえの解除をするためには債権者との交渉を行うこととなりますが、専門的な知識と経験が必要となる部分が少なからずあります。
特に行政法の差し押さえで、滞納した税金の納付以外の方法での解除を試みる場合には異議申立などを行うこともありハードルが高いようです。
もし、差し押さえを受けた物件を任意売却することをお考えの場合には、任意売却専門の業者に相談されることをお勧めします。