マイホームを購入して、夫と妻の2人が名義を持っていたり、両親から不動産を相続した兄弟(姉妹)がそれぞれ名義者となっていたりする場合に、もしも共有者の一人が自己破産するなどして、その財産である不動産が競売にかけられてしまった場合はどうなるのでしょうか。今回は競売に掛けられた不動産に共有者がいる場合をテーマにお伝えします。
共有者が自己破産になった場合
自己破産とは借金返済が見込めない場合、裁判所に免責を認めてもらうことで借金を返済する義務を免除されることをいいます。しかし自己破産をするためには、不動産を含む、所有する財産はすべて手放さなくてはならず、共有不動産であってもその持分は競売にかけられる事になります。
共有者が自己破産するとその持分は競売にかけられ、競売で競り落とした第三者が新たな共有者となります。
共有物分割請求
もし新たな共有者が、その不動産の全体を購入したいという意思表示をし、それに対し反対する共有者がいた場合、新たな共有者は裁判所に「共有物分割請求」を申請することができます。
共有者間の話し合いで決まらない時は共有物分割請求によって、どのように分割するか裁判所が決めます。分割方法は「現物分割」、「全面的価格賠償」、「競売」のいずれかになります。
〇「現物分割」
現物分割とは、不動産の現物をそのまま分割することをいいます。分割する不動産が土地である場合、それぞれに割り当てたうえで登記をします。建物の場合、厳格に分割することが難しいため適しているとはいえません。
〇「全面的価格賠償」
全面的価格賠償とは他の共有者に代償金を支払うことで、不動産のすべてを一人が所有できることをいいます。
〇「競売」
裁判所が競売を命じ、売却代金を分配する方法。
任意売却で不動産を販売しよう!
マンションや家と言った、現物分割できない不動産に共有物分割請求が行われてしまった場合は、共有者に資金力がないと、自分自身の持分を売り払うか競売後の代金を持分に応じて受け取るかの、どちらかの選択肢しかありません。
資金力がない場合、どちらにしても不動産を手放すことになります。競売は、市場価格の3~4割安い金額での売却となってしまいます。その為、競売よりも高い価格で売却できる任意売却を行う事をおすすめします。
競売はすべて裁判所に決められてしまいますが、任意売却はいつ・誰に・いくらで売却するかを自分の意志で決める事ができます。
そして売却の際に生じる、登記料や測量費用また仲介手数料などの諸経費は、売価価格から差し引くことが認められているので、お金の持ち出しが必要ありません。
まとめ
共有者が自己破産をすると、不動産を共有している者は少なからず影響を受けます。その人の持分が競売にかけられると、競売で競り落とした親族ではない第三者共有者となります。
共有物分割請求が起きてしまった場合に、資金力がないと不動産を手放さなくてはなりません。その際に任意売却を選択すると、競売よりも高く売却することができることや、いつ・誰に販売するかの意思決定も尊重されます。共有物分割請求が出た際は、「現物分割」「全面的価格賠償」「競売」だけでなく「任意売却」の選択肢もあることを覚えておきましょう。
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