競売してまで不動産を換価するのは、債権者が債権を回収するためです。競売による売却金額は、複数の債権者がいる場合にはどのように配当されるのか、ルールがあるのかを見ていきましょう。
■競売には種類がある
実は競売には担保不動産競売と強制競売という種類があります。同じ競売ではあるのですが、細かな点で異なってきます。
担保不動産競売とは、債権者が住宅ローンの融資に際して予め抵当権を設定している場合に、滞納に基づく債権回収を図るために抵当権を行使して行われる競売のことをいいます。債権者は裁判所に申立を行えば良く、裁判を起こす必要はありません。
強制競売とは、債権者が債務者の財産である住宅を強制競売して債権回収を図るために行われる競売のことをいいます。強制競売は申立の前に裁判で勝訴判決等を得ておく必要があります。
■競売による売却代金の配当ルール
競売による売却代金を債権者に配ることを配当と言いますが、申立を行った者が優先的に配当を受けられる訳ではありません。配当の順位は法律で決められており、高順位の者から優先的に配当が受けられます。配当の優先順位は次のとおりです。
第1順位 競売の執行に要する費用
現況調査報告書や評価書の作成料、書類の郵送料など競売を行うのに必要な経費です。
第2順位 公租公課
固定資産税、都市計画税などの当該不動産にかかるものだけでなく、住民税、自動車税など債務者が滞納している税金は全て対象となります。
第3順位 抵当権などによる担保債権
抵当権など競売の対象となっている不動産を担保としていた債権は他の一般債権に優先して配当を受けることができます。公租公課の法定納期限以前に登記された担保権はその公租公課に優先します。
第4順位 優先権のない一般債権
先取特権などといった一般債権に優先する特殊な権利などもありますが、売却価格の安い競売において、最後の順位にある債権にまで配当が回らないということはよくある話です。
■任意売却が選ばれる理由
競売よりも任意売却が選ばれるのは売却価格が高くなるということもありますが、第1位の順位にある競売の執行に要する費用が結構高額であることも理由のひとつになっているのではないかと思います。不動産売買の仲介手数料とまではいかずとも、それに近い水準になることもあるようです。であるならば、債務者も債権者も競売よりも任意売却を選択することに合理的な意味があります。
もし、ローンの支払いなどでお困りであれば任意売却を行っている業者に相談をしてみてはいかがでしょうか。