債務者が債務を履行しない場合には、最終的には裁判所への申し立てによる強制執行で債権回収を図ることになります。強制執行は抵当権等の担保権を有している場合や不動産を所有する債務者に対して勝訴判決が確定した場合は、不動産を競売にかけることになります。
今回は、不動産競売に関係する「競売申し立てに必要な費用」について見ていきましょう。
競売申し立てに必要な費用
〇申立て手数料
【担保不動産競売】
担保権1個につき 4,000円、共同担保は1個とします。
【強制競売】
債務名義1個につき4,000円、債務者が複数の場合は1人について4,000円です。
〇郵便切手
・94円分の切手(84円×1枚、10円×1枚)、切手を貼らない申立人宛返信用封筒、又は自社料金別納扱封筒を添付します。
・申立て費用として、収入印紙代4,000円、郵券切手代3,000円が相場になっています。
〇民事執行予納金
・申立書受付後に保管金提出書を送付し、送達費用等として2万~3万円分を加算した金額
・予納金額は、売却後に代金から優先的に使用した経費が差し引かれ、納付した額が返還されます。
〇登録免許税
・原則として、国の収納機関(銀行)に納付します。
・税額が3万円未満の場合は、収入印紙での納付も可能です。
・税額請求債権額の1,000分の4(請求債権額は1,000円未満切り捨て、税額は100円未満切り捨て)
・登録免許税を領収証書で納付する場合の納付先税務署
土地や建物の競売に必要な費用
〇入札保証金として最低売却価格の2割が、入札手続を行う際に必要になります。落札後は競売物件の代金に割当てられます。落札が成立しなかった場合は全額返還されます。
〇競売物件の代金は競売物件の代金として、落札価格から入札保証金を差引いた額を支払いします。
〇所有権の移転登記を行う際の登録免許税は、不動産額の1,000分の20が必要です。不動産額が2,000万円の登録免許税は40万円です。
〇引渡し命令申立て費用で物件の代金を支払いし、所有権の移転登記などの引渡し手続きが完了しても占有者が引渡しに応じない場合は、占有者に対する引渡し命令の申立てを行います。その手続きで、相手1名につき500円の収入印紙が必要です。
〇執行文の付与は引渡し命令申立て1件に付き、300円が必要になります。公正証書作成は公証人への執行文付与作成手数料として1,700円の費用がかかります。
〇占有者への送達証明は証明1個につき150円が必要になります。公正証書作成で公証人へ謄本取得の為の手数料として1,600の費用がかかります。
〇その他、弁護士費用
弁護士へ依頼する場合は、着手金・報酬金を競売による回収金額に応じて支払います。
まとめ
競売の申立て費用の多くを占めるのは、「予納金」と「登記費用」です。申立て費用(印紙代含む)はだいたい2万円くらいです。差し押さえの登記費用は、請求債権額の1000分の4の金額となります。予納金は、およそ60万~200万です。前の所有者が出ていかない場合には、強制執行手続きを行うことになります。その際にも、いろいろな費用がかかります。
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