民事上の時効制度には取得時効と消滅時効があり、時効によって不利益を受ける当事者のために、この事項を止めるための措置として、時効の中断という制度が用意されています。では、競売は時効の中断の効力とどのような関係があるのでしょうか。
時効が中断するとどうなるの?
時効の中断とは、以下に記載した事由が起こる事により、時効の進行がとまる事をいいます。また、ストップするだけではなく、新たに「ゼロ」から時効期間の進行が始まります。
時効が中断する事由には、
〇貸主からの請求
〇差押え、仮差押え、仮処分
〇承認
の3種類があります。例えば、金融機関からの融資を受けてその返済ができなくなった場合の時効は5年となります。しかし、最後に返済をした日の翌日から3年が経過した時点で時効が中断すると、それまでの期間は意味をもたず、時効期間は「ゼロ」にリセットされるという事になります。
時効の中断の具体的な事由
参考までに民法第147条の時効中断事由について整理してみました。どのような事由が時効の中断の適応となるのか詳しく解説しています。
①請求
・裁判上の請求:訴状を裁判に提出したとき
・支払い督促
・和解/調停の申立て
・破産開始決定の申立て
・破産手続き開始
・内容証明郵便による催告
②差押え/仮差押え/仮処分
・執行官が差押えに着手したとき
・抵当権実行としての競売申立て(競売不動産を差押えしたとき、ただし、物上保証人に対する競売申立ては債務者に正本が送達されたとき)
③承認
支払い猶予の懇請、手形書き換えの承諾、利息の支払い、一部弁済、反対債権による相殺
競売と時効の中断の関係
競売と時効の中断の関係ですが、時効の中断事由である3つの事由の中で、競売は「差押え」の事由に該当します。その効力が発生するには
①強制競売の決定を不動産所有者(債務者)へ通知されたとき
②差押えの登記
のどちらかを先に実行された時点となっています。差押えの効力が決定すると、裁判所によって開始時期を債務者に対して通知します。
債権者は権利を消滅させないようにするため、対抗手段として消滅時効の手続きを「中断」する行為がおこなわれます。その行為が先述している「請求」「差押えや仮差押え」「承認」です。具体例を見てみると
〇「請求」によって、債務者(不動産所有者)に対して勧告したにもかかわらず、支払いがされない場合の裁判での請求
〇「差押えや仮差押え」は強制執行などによっておこなわれます。
〇「承認」では、債務者が一部の支払いをしたり支払いの猶予を求めた場合になります。
以上の事由によって、債権者は時効の中断をする事ができ、時効期間のリセットをおこなう事ができるのです。
まとめ
競売における時効の中断という事で、配当要求が時効の中断に該当する事も覚えておきたいものです。配当要求による時効中断の効力は、たとえ無配当となるおそれがあっても配当要求をしておく事で、売却代金から配当が受けられる可能性もあります。
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