住宅ローンの支払いを行っていた債務者が亡くなられた場合、相続人は住宅ローンの返済債務も相続することとなります。相続することに何ら問題がなく、支払いも可能であれば良いのですが、返済が困難な場合にはどうすれば良いのでしょうか。
■住宅ローンの書類を確認してみましょう。
急な相続の発生により予定していなかった住宅ローンの返済を行わなければならないとなると、経済的な負担は決して小さいものではありません。相続ということであるならば、まずは被相続人の住宅ローンの申し込み時の書類などをしっかり調べてみましょう。
■団体信用生命保険への加入の確認
多くの金融機関では、住宅ローンの貸出のための条件として団体信用生命保険へ加入することとしています。団体信用生命保険に加入していると、債務者が住宅ローンの返済途中で死亡したり、高度障害となってしまったときに債務者に代わり住宅ローンの残額の支払いを保険会社が行ってくれるのです。このため被相続人が団体信用生命保険へ加入していれば、死亡の時点で住宅ローンの返済義務は無くなることになります。また、まれにあるのですが、団体信用生命保険に加入していたにもかかわらず、相続人が継続して住宅ローンの返済を行っていた場合には、返還の手続きを行うことで過誤払い分は返還されます。 書類を確認しても不明な場合には、住宅ローンの借入を行った金融機関に問い合わせをしてみましょう。
■団体信用生命保険に加入していなかったら
生命保険に加入していなかった場合はどうしたら良いのでしょうか。支払えない債務を負うことは可能な限り避けたいものです。相続発生から3カ月以内であれば、相続放棄という方法があります。相続放棄をすることで相続人ではなくなるため、住宅ローンの債務は関係がなくなり返済の義務も発生しません。しかし、連帯保証人である場合には相続放棄をしても連帯保証人として住宅ローンの債務を弁済しなければなりません。
■どうしても債務を負ってしまう場合
以上のような確認や方法をとってみてもどうしても債務を負ってしまう場合やモラル的に返済を行いたいという場合には、住宅ローンの目的物である住宅を売却してローンの返済に充てるという方法があります。任意売却によって一般的な相場で売却できれば、競売などよりも残債を大きく減らすことが可能となるのです。任意売却には債権者の承諾が必要ですので、まずは相続の状況の説明を兼ねて任意売却についても相談をしてみましょう。