住宅ローンなどの返済が滞り、金融機関などからの督促があっても返済を行わないままでいると、やがて差し押さえの登記がされ、競売が実行されることとなります。実際のところ競売が行われるということは、どのようなものなのでしょうか。
■ なぜ競売が裁判所で行われるのか
住宅ローンなどの返済が不可能となった場合、債権者がその債権回収のために、民事執行法に基づいて裁判所に対して申し立てを行うと、裁判所が担保となっている不動産などの売却手続きを進めます。 このように競売は法律に基づいて裁判所で行われます。
■ 債務者にとっての競売のメリット・デメリット
債務者にとっての競売のメリットは、債務者が何もしなくても売却手続きが進んでいくことです。煩わしい交渉は特になく、受け身の姿勢でいるだけで話は進んでいきます。また、物的な瑕疵担保責任を負う必要がないこともメリットであるといえます。 しかし、競売のデメリットも多くあります。 最も大きなデメリットは競売の落札金額が、一般的な市場の7割程度といわれるほどに安くなることです。また、現在は競売情報はインターネットでも公開され、近所にも競売の事実が知られてしまう可能性が高いです。特に小さなお子様がいらっしゃる場合には、精神的に苦しい思いをすることもあるかと思います。
■ できれば避けたい競売による売却
競売による競落価格が安い理由として、一般の売買と比べ買主である落札者の保護が薄いことが挙げられます。落札希望者は、リスクを承知で入札をするため自ずと相場よりも低い金額での入札行うこととなります。 競売によって回収された金額で住宅ローンの返済が完了しない場合には、原則的には債務者は引き続き債務の弁済を継続することになります。マイホームを手放してまで債務の返済を行うのですから、残債は極力少なくしたいところです。
■ 競売以外による売却方法
競売以外の方法として注目を浴びているのが任意売却という方法です。任意売却では、不動産会社の仲介などを通じて競売市場のような特殊で閉鎖された市場とは異なる一般市場で不動産を売却します。瑕疵担保責任を負う必要はありますが、一般市場における相場での売却が可能となり、残債を大きく減らすことも可能となります。任意売却をするためには債権者との調整が必要です。債権者との交渉にも精通した仲介業者をみつけることができればスムーズな任意売却も可能となり、債務者の負担も軽減することでしょう。競売を避けたい場合には一度ご検討ください。