不動産を売却した際には、固定資産税の精算が行われることがあります。この精算を行った場合に授受した精算金は、どのように仕訳を行うものなのでしょうか。
固定資産税の精算とは
固定資産税とは、土地や建物などの不動産や、大規模資産を所有している者に対して課する市町村税のことです。ちなみに東京都の場合は、23区の特別区では東京都が課税を行っています。納税義務者は毎年1月1日時点に固定資産課税台帳に、所有者として登録されている者となります。
したがって年の途中で不動産などを売買した場合、所有者が移転したからといって納税義務者が変わることはありません。このため不動産の売却後、売主はその不動産を使用収益することが無いにも関わらず税金を納めることになるため、公平性の観点から固定資産税を按分した金額を、精算金として不動産の買主が売主に支払うことがあります。
この清算行為は法律で定められたものではなく慣習的なものですが、実際に精算金を授受するケースが多くあるようです。この固定資産税の精算金は不動産の売買価格とは別になりますが、会計上や税務上ではどのように仕訳をすることになるのでしょうか。
清算金の扱い
マイホームなどの不動産を売却した時点で所有権は買主に移ります。そこで固定資産税の精算を行う場合、売却した時点が7月1日であれば固定資産税の半分を買主が売主に支払うことになります。
税法上の納税義務者は1月1日時点の所有者である売主ですから、買主には納税義務がある訳ではありませんので、買主が売主に支払った精算金は税金の支払いではなく売買代金として仕訳されることになります。
したがって不動産の譲渡価額はあくまで精算金を含めた金額となり、譲渡による損益は精算金を含めた金額で計算をすることになるのです。なお、精算金が譲渡価額として仕訳されるため、売主が消費税の課税事業者である場合、土地について消費税は掛かりませんが、建物については消費税が発生することになりますので、建物の固定資産税分に該当する精算金額に消費税率を乗じた金額の納税義務が発生することになります。
固定資産税として支払うからといって、費用に仕訳することがないように注意しましょう。
確定申告でも注意が必要
不動産の売買は高額となることが多いため、税務署から注目されやすいものです。固定資産税の精算金を受け取ったのであれば収入に仕訳され、譲渡金額となります。
不動産を売却した場合には、譲渡の金額について確定申告することになりますが、固定資産税の精算金の仕訳に誤りがあると税務署からチェックされる可能性がありますので、十分に注意しましょう。