不動産基礎知識

不動産投資における減価償却費の計算

不動産投資では減価償却に対する理解が重要です。よく不動産投資を行うと節税になるとか、納める所得税が少なくなるということが言われますが、不動産投資失敗の赤字によって所得税が少なくなってもあまり意味がありません。
減価償却費を計上することで実際の収支は黒字でも決算上は赤字になることから、節税効果が高まるのです。減価償却費はどのようにして計算されるのでしょうか。

減価償却費とは
不動産投資では賃貸経営に必要な経費は費用として計上する事となります。一般的な経費は支払った時点で全額が費用として計上されますが、建物などのように長期に渡って使用され、その効果が持続する資産は取得費を払った時点で全ての金額が経費として費用化されず、耐用年数に応じて配分されて費用化されます。
この費用を配分することを減価償却と呼び、費用の減価償却が適用される資産のことを減価償却資産といいます。
不動産投資においては主に建物が減価償却資産となり、取得費が耐用年数に渡って費用化されていくことになります。なお、土地は使用に応じて価値が減ずるとは考えられていないために土地の取得費は減価償却の対象とはなりません。

減価償却費の計算
不動産投資を行うにあたって賃貸マンションなどを購入することになりますが、減価償却費はどのように求めるのかを簡単にみていきます。
まず、賃貸用不動産の購入金額を土地と建物に分離します。更に建物の価格を建物本体と建物設備とに分けます。これらを分ける際には契約書を確認したり、不動産会社に確認したりする必要があります。
次に建物や設備の法定耐用年数を確認します。設備は15年が一般的ですが、建物はその構造によって法定耐用年数が異なりますので注意が必要です。新築では法定耐用年数が耐用年数となりますが、中古の不動産では法定耐用年数から経過年数を控除し、経過年数の20%を加算するなどして求めます。
法定耐用年数が求められたら減価償却資産の償却率表を用いて償却率を求め、建物等の価格に償却率を乗じて減価償却費を求めます。なお、償却方法には定額法と定率法がありますが、現在取得した不動産には定額法のみ適用が認められています。

減価償却費の特徴
このようにして求めた減価償却費を費用計上することによって、賃貸経営による実際の収支は黒字であるにも関わらず、確定申告上の収支は赤字となり所得税が還付されるケースがあります。
これが不動産投資は節税になるという理由のひとつなのです。
簡単に償却資産の計算の仕方を大まかに説明しましたが、減価償却に対する考えの一助になれば幸いです。

ピックアップ記事

  1. 賃貸経営を行うのに宅建の資格は必要?
  2. 督促状の納期限とペナルティについて
  3. 不動産売却における委任状取り扱い説明書
  4. 不動産の投資で不労所得生活を始めていくために考えること
  5. 在宅ローンの老後破産リスクは任意売却で回避しよう

関連記事

  1. 不動産基礎知識

    住宅ローン控除が40平米以上の住宅も対象に

    税制改正により住宅ローン控除にも改正が行われ、これまで床面積50平米以…

  2. 不動産基礎知識

    住宅ローンを組む際ボーナスを併用して支払う割合

    住宅ローンを組む際の返済方法は、毎月支払う方法と、ボーナスを併用して支…

  3. 不動産基礎知識

    競売における交付要求とは何か

    抵当権が設定された物件について競売の申立てが行われると、裁判所によって…

  4. 不動産基礎知識

    家の売却 ~査定シミュレーションの特性と注意点~

    家の売却を考えたとき、「どのくらいで売れるのか」というのは最も気になる…

  5. 不動産基礎知識

    住宅ローンを組む際に7大疾病対策は必要か!?

    多くの人にとって、マイホームは人生で最大の買い物です。その購入費用を一…

  6. 不動産基礎知識

    不動産競売申立に必要な費用と取り扱い

    不動産競売は裁判所で行われるものではありますが費用が発生します。この費…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. いろいろ

    競売物件をリフォームする利用価値とは
  2. 不動産基礎知識

    家の売却、売り時はいつなのか?
  3. 不動産基礎知識

    不動産の投資で不労所得生活を始めていくために考えること
  4. 相続

    債権者の代位権に基づく相続登記とは何か
  5. 相続

    相続 ~土地の税金について~
PAGE TOP