住宅ローンの滞納を続けていると、債権者は債権回収のための最終手段として競売の実行手続きを進めることとなります。競売による落札金額は一般の不動産売買市場と比較して低額になりますが、入札方法にもその理由の一端があります。
■ 競売で行われる入札方法
入札の方法にもいくつかありますが、裁判所によって行われる不動産の競売は期間入札で封印入札方式という方法を用いて入札が行われます。期間入札は、裁判所が定めた一定の期間を入札期間とし、その期間内に入札を受け付けるという方法です。入札は、執行官に直接提出又は執行官宛に郵便若しくは信書便による送付によって行われます。入札期間が経過した後に到着したものは無効となります。
開札はあらかじめ公告された期日に裁判所の売却場において行われます。開札期日は入札期間の終了後1週間後となるのが通常です。最も高い入札額の者が最高価買受申出人となります。この後は売却のための手続きに進むこととなります。
■ 競売の入札方法が価格に与える影響
競売の期日は裁判所の公告によって知るところとなりますが、この公告によって競売の入札に参加しようと考えている人は初めて物件の詳細を知ることとなります。そして、この公告日から期間入札の最終日までの期間は概ね3週間です。したがって入札参加者は、3週間で物件の調査を完了し、入札額を決定しなければいけません。また、競売物件には瑕疵担保責任という通常の売買であれば売主が負う物件の欠陥に対する責任が無いためにリスクが大きくなります。このため入札額はどうしても低くなってしまいます。
また、封印入札方式も落札金額が上がらない理由となります。封印入札方式は、入札者がお互いの入札金額を知ることができない入札方法です。絵画のオークションや市場の競りなどでは入札金額をその場で競わせることで吊り上げていきますが、封印入札方式では他者の入札金額を見て自分の入札金額を変更することはできないため、1回の入札で最も高額な入札をした者が落札者となります。リスクの高い競売不動産を高値で買おうという方は基本的にはいません。したがって、どうしても落札したいと考える物件でない限りは、入札参加者は上限金額では入札しませんので、落札金額は高くはならないのです。
■ リスクが敬遠される不動産市場
不動産売買は金額が高額なため、どうしてもリスクが敬遠されます。瑕疵担保責任があり、内見もできて、しっかりと物件の調査や確認ができる一般の不動産市場での売買価格のほうが高くなるのは当然なのです。任意売却であれば競売と異なり一般不動産市場での売買と変わらないプロセスでの売却が可能となります。住宅ローンの支払いができず手放すことも検討している場合には、是非一度任意売却の専門家にご相談ください。