競売に関連する3点セットで、競売の物件情報を知る事になるのですが、その中で度々、評価人について聞き及ぶ事があります。今回は、競売の評価人の役割とは何をするのかについて、紹介しましょう。
競売の評価人とは
競売における法律「民事執行法」というものによりますと、競売の対象となる不動産物件の売却基準価額を、鑑定して評価する人にあたります。それを、選出するにあたっては執行裁判所が、数ある専門家の中から知識と経験を考慮した上で選ぶ事になっています。
評価人の役割とは
競売物件を、市場価格や競売における状態を総合的に判断して、競売における適正とされる評価の金額を決定する必要があります。所有者である債務者や、お金を回収したい債権者の利益保護を目的としているので、不当な廉価(ダンピングなどで安く買いたたく事)によって、債権の回収を阻害する事を防止する為の仕事になります。
評価人の役割とは、不動産競売制度にとって重要な仕事を担っています。通常は、不動産鑑定士としての業務を民間の不動産業務として行っている人に評価人の資格があります。
売却基準価額を決定するには
裁判所が決める事になりますが、評価人の金額を参考にしています。売却基準価額は競売の値段によっては、不動産取引が難しい事も考慮した上で、ある程度の買受出来そうな金額を提示する事になっています。「売却基準価額」は実勢価格の60%になる事もありますが、実際の落札額はそれを上まわるので、実勢価格の87%位で取引される事になります。
【売却基準価額の求め方】
= 通常の評価 × 競売特有の減価率(東京地裁では0.7) × 市場修正(問題に応じた減価率)
買受可能価額とは違う
落札に参加して他の参加者と価格の競り合いを行ない、最低買受価額よりも高い値段で落札の価格を提示する事になっています。「買受可能価額」の8割以上で入札になるのですが、競売物件の中でも良い物件や、その人に取って必要な対象であれば、通常の市場価格よりも高値で落札される場合も存在します。競売物件だからといって安く購入できるとは限らない良い物件もあるようです。
「買受可能価額の求め方」 => 売却基準価格 × 0.8 以上である事です。
評価人になる人は
裁判所では、不動産の鑑定を行う「評価人」の募集によって決めていきます。35歳以上から65歳未満という年齢になっていますが、裁判所による規定要項は、多少異なる場合もあります。
「不動産鑑定士」の登録をしている事と、「不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の資格」を持っている者で、実務経験においては5年以上が必要とされています。民事執行法に対しての筆記試験と面接によって、法律に触れない正しい人を選出しています。
任期は2年間ですが、評価人は債権者や債務者、又は不動産を安く手に入れようとする関係者などと利害関係があってはなりません。その任期中に疑いを持たれないように、正しい行動を心がけなければならないのです。
競売評価書の見方
競売の3点セットにより、競売の入札に参加したい人の為の情報が記載されています。
1-物件明細書
不動産の住所や地目などの情報、不動産に係る権利の取得及び仮処分の執行で売却によりその効力を失わないもの説明などや地上権の設定など。
2-現況調査報告書
不動産の形状や、占有権の有無など。
3-評価書
評価人が不動産鑑定士の務めとして、競売物件を評価し「売却基準価額」の参考価格を提示します。公法上の規制などの説明をしています。
評価書の内容
土地や建物の評価の記載事項は異なりますが、以下は共通の表示です。
【1-共通の表示】
・事件の表示
・不動産の表示
・不動産の評価額及び評価の年月目
・不動産の所在する場所の環境概要
・評価額の算出の過程
・その他執行裁判所が定めた事項
【2-土地の場合の記載事項】
・地積の表示
・都市計画法やその他の法令に基づく制限の有無及び内容の表示
・規準とした公示価格その他の評価の表示
【3-建物の場合の記載事項】
・建物の種類、構造及び床面積
・残存耐用年数
・その他の評価の参考とした事項
【4-添付資料】
・不動産の形状を示す図面の記載
・不動産の所在する場所の周辺の概況を示す図面を記載
まとめ
評価書の内容は事細かに記載されていて、実際に内見などによって現地調査を行う事で、評価人の役割は、大変重要な作業を担っているのです。評価書の内容を正確に把握するために、評価人はなくてはならない仕事なのが理解できます。これによって、競売に関わる全ての人に役立つ情報を知る事になるのです。
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