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倉庫の競売購入で起こり得る残置物の扱い

競売には通常の不動産購入と比較して、安価に入手できる可能性があります。しかしながら、購入金額とは別の面でリスクを含んでいる可能性もまた考慮に入れておく必要があると言えるでしょう。今回は倉庫を競売で購入する際に想定される残置物について、どう対処すべきか見ていきたいと思います。

競売とは

競売で取引される不動産は、所有者が何らかの支払い滞納状態に陥り、抵当権を持つ債権者側の申し立てにより差し押さえられた物件です。差し押さえられた物件は裁判所が主催する競売にかけられ、入札によって購入希望者が各々希望の支払い金額を提示し、その中で一番の高値を提示した買受人へと売却されることとなります。これが競売の大まかな流れです。

残置物とは

競売物件が落札され買受人が決まった後、物件内に前所有者の物品が放置されているケースが多々あります。このような物が残置物に当たります。殊に倉庫の残置物は住宅物件には見られない作業用の大型機器や薬品類等である場合もあり、これをどうやって処理するかという問題が倉庫の競売物件における厄介な点と言えるでしょう。

残置物は誰の物か?

競売で倉庫を購入したとは言え、その中にある残置物は買受人の所有物とはなりません。買受人が所有権を有するのはあくまで不動産である建物としての倉庫のみであり、残置物即ち動産の所有権は前の倉庫所有者即ち債務者が有しているわけです。

そのため、買受人が無許可のまま勝手に処分することは違法と見做され、場合によっては訴訟を起こされる恐れすらあります。

残置物への対処法とは?

では、落札した倉庫の中に残置物があった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。
解決に至るには2通りのパターンが考えられます。

債務者との交渉

まず1つは、残置物の所有者即ち債務者と交渉し、どのように処理するか協議することです。結果によっては、債務者が残置物を引き取る場合もあるかと思われます。しかし処分に費用を要するケースとなると、元々資金不足で差し押さえに至った債務者に、支払い能力があるとは考えらません。そのため、実際の処分費用は買受人が支払うこととなるでしょう。

法的手段

2つ目の対処法としては、法的手段に訴えることが挙げられます。手順としては次の通りです。

買受人は落札代金を納入後、裁判所に不動産引渡命令の申し立てができるようになります。
要は落札後の倉庫内に残置物があることで、債務者が倉庫を占有していると見做しているわけです。つまり倉庫内から残置物を出して、不動産としての倉庫の所有を手放すよう命令することを意味します。

不動産引渡命令を申し立ててからおよそ2週間後、裁判所は債務者にそれを通達します。この段階でまだ残置物が除かれていなければ、買受人は強制執行の申し立てを行うことができるようになります。

強制執行とは、競売においては落札後なお物件に居座る占有者を強制的に立ち退かせ、買受人がその物件を使えるようにすることを指します。倉庫物件の場合の強制執行では、倉庫内から残置物を取り除くことと捉えてよろしいでしょう。

強制執行の申し立てから2週間後、裁判所から債務者側に強制執行の期日が通告されると共に明け渡しの催告が行われ、その約1カ月後に強制執行が断行されることとなります。

残置物はその後1カ月ほど保管され、その間債務者が引き取りに来なければ裁判所による競売対象となります。

強制執行や残置物の保管に生ずる費用は、本来債務者が負担すべきところですが、実際の支払いは支払い能力のない債務者に代わって買受人が行うことが主となるでしょう。

まとめ

以上のように、倉庫物件の競売によく見られる残置物の問題について、競売の流れと残置物の所有権は債務者が有することを確認しながら、債務者との交渉により解決するケースと、引渡命令から強制執行に至る法的手段が取られるケースの2通りの対処法があることを見てまいりました。

本文中で見たような、強制執行等のイレギュラーな出費や、債務者との交渉等、不動産競売にはリスク及び初心者の方には困難な場面が想定されます。競売に詳しい不動産会社のサポートが得られる態勢を整えた上で検討されることをお勧めします。

競売に関する事や不動産の事なら全ておまかせ、ご相談も「アブローズ」までご一報を下さい。

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