これから競売に参加して物件を見つけようとしているのなら、知っておきたい用語の一つが「抵当権」です。この言葉の意味を知らずして、競売に参加する事は出来ないと言っても過言ではありません。今回は、抵当権とはどういう物なのかを詳しく解説します。
抵当権とは?
抵当権とは、債務者が住宅ローンなどの借金の返済が出来なくなった時の備えとして、土地や建物などに設定される担保権(債権回収を確実にする権利)の一つです。お金を貸した金融機関を「抵当権者」、住宅ローンなどの借金をしている者を「抵当権設定者」と言います。
抵当権設定者が住宅ローンの支払をしなかった場合、又は出来なくなった場合に抵当権者(銀行などの金融機関)は、裁判所に競売(けいばい又はきょうばい)を申し立てます。裁判所は、抵当権者からの競売の申し立てを受けると、抵当権設定者から担保になっている土地や建物を取り上げて(差押え)競売に掛けます。競売で得た売却代金は、住宅ローンの支払に充当されます。
競売についてもっと詳しく知りたい
競売は競争入札ですので、参加者のうち最も高い値を付けた者が落札出来ます。競売に掛けられた物件の所有権取得時には、全ての抵当権と差押えが抹消されます。注意点としては、一般の不動産の売買とは異なり、物件は現状引き渡しとなるため、占有者(住人)の排除が必要な場合があります。また、集合住宅の場合は滞納管理費の支払義務を落札者が負う事になります。
競売の流れ
1.住宅ローンの滞納をした抵当権設定者に、抵当権者である金融機関から催促状・督促状が届きます。
2.それでも滞納の状態がおよそ2~3か月解消されないと、抵当権者から抵当権設定者へ呼び出し(来所のお願い)が届き、その後の支払いについての話し合いがもたれます。
3.抵当権者から抵当権設定者へ「最終通告書」が送られます。
4.それでもなお、滞納の状態が解消されないと 抵当権者が抵当権設定者へ「残金延滞利息の一括返済」を求めます。これを「期限の利益の喪失」と呼びます。
5.ほとんどの抵当権設定者は、この「残金延滞利息の一括返済」を行う事は出来ません。そこで、「住宅ローン保証会社」が登場し、抵当権設定者に代わって住宅ローンの残金を抵当権者である金融機関へ、一括返済(代位弁済)します。これにより、住宅ローンの債権は、金融機関から保証会社へと移管されます。
6.この住宅ローン保証会社が裁判所への競売の申し立てをします。
抵当権設定者の元には、「催告書」・「代位弁済通知」・「債権回収委託通知」が送られます。
7.抵当権者が競売を申し立てると、その時点で不動産登記簿に「差押え」と記載され、抵当権設定者は自由に不動産を処分出来ない状態となります。これがいわゆる「差押え」です。
8.裁判所から抵当権設定者へ「競売開始決定通知」が送られます。
9.裁判所から執行官、評価人(不動産鑑定士)が物件を訪問し、調査(写真撮影など)を行います。
10.「現況調査報告書」・「評価書」・「物件明細書」など、競売資料が作成されます。
11.資料を基にして基準価格が決定されます。
12.入札期間、開札日、売却基準価格を知らせる「期間入札決定通知」を送ります。
13.裁判所から、入札期間が広告されます。
14.入札期間が終了し、開札が行われます。買請人が決定します。
15.買受人は購入代金を裁判所へ納付し、物件の所有権が移ります。売却許可決定と言います。
16.債務者に対して、物件の買受人への明け渡しを命ずる「引き渡し命令」が下されます。
まとめ
今回は抵当権という言葉の意味と、競売の大まかな流れを解説しました。これから競売に参加したいという方は、用語の意味をきちんと理解して、よりスムーズに競売へ参加出来るようにしておきましょう。
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