競売物件が落札されると、買受人は物件を手に入れることはできますが、立ち退きがうまくいかない場合は、手に入れた住宅に住むことや賃貸住宅として使用するといったことはできず、占有者に住居から立ち退いてもらう必要があります。今回は競売落札後の流れと合わせて、立ち退きに必要な手続きの方法について解説します。
不動産立ち退きまでの流れ
物件を落札して裁判所の口座に代金を納付すると、裁判所の権限で買受人のものになります。しかし、ギリギリまで住み続ける占有者もいます。立ち退きを拒否する占有者は不法占拠し住み続けていることになりますが、退去してもらうには法的手続きが必要になります。
不動産引き渡し命令と強制執行の申立て
買受人は「代金納付後すぐに」不動産引き渡し命令の申立てを裁判所に対し行うことができます。最短3日で裁判所から引き渡し命令が出され、発令後に不服申立てがなかった場合、10日経てば強制執行の申立てが行えるようになります。
執行官との打ち合わせ
強制執行の申立てが受理されると、買受人と執行官で、明渡し勧告・強制執行をする断交日・執行官補助と荷物を運び出すのに必要な業者依頼、といった打ち合わせを行います。
明渡し勧告から断交日まで
具体的な日時と人員が決まれば、執行者が直接訪問し占有者に断交日の日時までに退去するように勧告されます。基本、断交日は勧告された日の1カ月後に設定されます。
断交日になっても強制執行前の勧告に応じない場合、執行官とともに作業員と鍵屋の方が強制的に鍵をこじ開けて荷物を運び出し、鍵を付け替えます。
立ち退き後の残置物の処理
強制執行前に立ち退きが完了した時、運び出されなかった占有者の残置物が残っていることがありますが、これは他者の所有物で不動産が占有されている状態といえます。
残置物の処理方法は、まず占有者と協議し、占有者に引き取ってもらう場合や買受人が処分または買取るといった処理方法と、処理の費用を負担について等の話し合いをする必要があります。交渉ができないような場合は、裁判所に引き渡し命令と強制執行の手続きをし、撤去してもらうことになりますが、費用は買受人が負担することになりますので注意しましょう。
負担費用は、残置物の量にもよりますが、50万円程度を用意する必要があります。所有者に請求できる費用ですが、現実的には返せない場合が多いことを認識しておくべきです。また、早めの解決を望む場合には、引っ越し代の負担を検討することも方法の1つです。
まとめ
落札金額を納付してから立ち退き完了までの大まかな流れをご説明しましたが、早くても1カ月半はかかることを念頭に置いておきましょう。
強制執行の申立てをする段階までになると、トラブルに発展するケースが多く買受人に大きな負担になることは間違いないです。できる限り穏便に話し合いで解決したいと思うのが人情ですが、個人で競売に参加する方の大半は初心者の方です。もし、競売についてお悩みでしたら、専門の不動産業者や機関に一度相談してみることをお勧めします。
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