夫婦が離婚に至る場合、様々な要因があるでしょう。もし配偶者のどちらかが離婚に至らしめる原因を作ってしまったなら、その「有責配偶者」の離婚はどの様になるのでしょうか? 詳しく解説します。
有責配偶者とは
離婚関連の情報を集めていると、この有責配偶者という言葉が散見されます。どのような法的な意味を持った事柄なのでしょうか。
〇意味について
有責とは辞書などで調べると、ある事について責任があることと示されていますが、有責配偶者と言うのは、婚姻関係破綻の要因をつくった配偶者を指します。平たく言えば離婚に至らしめる要因を作った方と言えます。
民法では、夫婦はその協議において離婚ができると決定しています。夫婦が離婚することは、婚姻同様に、夫婦双方で合意を行う事になっているのです。
有責配偶者は、自身で離婚原因を起こしたのですから、離婚を要求することができないことが基本です。しかし、例外はあります。次の3つの条件を全て満たしたときには、離婚請求が出来る場合があります。
1.夫婦関係が破綻しており、長期間にわたり別居の状態である場合、認められやすくなります。
2.夫婦に、経済的に自立できない子どもがいない事。未だ経済的自立できない子どもがいる場合、有責者からの請求は認められません。
3.責任を有する者が、自身の非を認め、被害者である配偶者が別れた後も生活に困らない状態を作ることで、要望が通る可能性があります。
離婚の場合の注意すべきこと
有責配偶者と別れる場合に知っておくべき注意があります。3つ述べます。
1.親権についての争いがあるときには、調停や裁判を通して親権者を決定しなければなりません。親権者を決める際には、有責配偶者だからというだけの理由では、親権係争において不利になるとは限りません。夫婦の責務と親の適性は、それぞれに判断されます。
2.離婚して、有責者が親権者となった場合も、別れた元夫又は元妻に対して養育費を請求できます。反対に養育費を支払う元夫または元妻が、有責者だからという理由で養育費の額が増やされることもありません。実際は裁判所が発表している養育費算定を活用し額が定められます。
3.財産分与の制度により、夫と妻のどちらかがもう一方に対して財産分与を請求する事が出来ます。原則的に夫婦の財産分与は50%ずつとなっています。財産分与の問題で一番大きな物は、居住している住宅をどうするかでしょう。どちらかが住み続けるにしても、ローンの返済が残っている場合に双方で支払い続けるのか、または一方が支払うのかを話し合う必要があります。
また、住宅ローンの返済が不可能な場合、競売にかけられることもあります。競売の場合は非常に安価な売買価格になるため、落札までに任意売却することで有利な条件になり、住宅の売却については、専門業者に相談したり委託したりすることをお勧めします。
有責配偶者への請求とは
不貞行為により精神的苦痛をこうむった方の配偶者は、その精神的苦痛の代償として有責者に対して慰謝料を請求できます。慰謝料請求のときに知っておくべき注意点を2つ紹介します。
1.当人が、有責配偶者であることを認めていることや、不貞行為の事実を認めているときには、そのこと自体が証拠になります。念書など証拠として保存するようにしましょう。事実に基づく証拠(録音・写真・動画・診断書・メールなど)が必要です。
2.慰謝料の請求料は、離婚成立後3年経つと消滅時効にかかり請求ができなくなりますので注意を要します。
まとめ
夫婦の離婚が多くなる中、離婚することに伴う様々なトラブルも生じています。できるだけ円満な形で話し合いにより、決着がつくことを願います。その際に住宅ローンの問題や住宅の存続を考えましょう。
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