夫婦別居中で妻が家を出ている場合や、夫名義の家に妻が住み続けている状況で、夫が家を出ている時、夫側で勝手に家を売却されてしまうと困った事になります。今回はその時の対処と注意点を解説していきます。
夫名義の家は夫一人で売却が可能
100%夫名義になっている家では、家族で住んでいたとしても夫は妻や家族に相談なしに夫一人で売却ができます。不動産会社に依頼する時も夫一人で行え、売買契約時に締結することも可能となります。妻に連絡する必要はない為、注意が必要です。
一度売られてしまうと取り戻す事が難しい
100%夫名義の家の所有権は夫にあるので、売ったとしても法的にはなんら問題ない事になっています。そのため、一度売却されてしまうと取り戻すのは非常に困難です。この場合、妻が売買を取り消す事はできません。
夫名義の家に妻が住み続けている場合、知らない間に家を売られていたという事にならないよう注意が必要です。
家を勝手に売却させない対処
妻が知らない間に家を売却させない為の対処をいくつか書いていきます。
登記識別情報(旧:不動産権利証)を預かる
一つ目は妻が登記識別情報(旧:不動産権利証)を預かる方法です。
〇登記識別情報
2005年に不動産登記法改正により、不動産権利証を交付する制度を廃止、代わりに登記識別情報を登記した名義人に通知する制度に変わりました。登記識別情報は無作為な12桁の英数字でできており、不動産の登記名義人本人である事の資料となっています。
(昔の不動産の場合、不動産権利証が必要になります。)
売却する時には必ず登記識別情報の提示を求められます。基本的に再発行は行われず、妻が登記識別情報を持っていると夫は勝手に売却する事はできません。ただし、夫が司法書士に頼んで作成する事はできるので注意が必要になります。
書面に残しておく
別居する時に、「勝手に売却した場合は売却金額の半額を支払う」など、合意の書面があれば、財産分与に基づく請求権を持てます。
家が売りに出されていないかチェックする
家が売りに出されている事を知った時や、夫が不動産会社と連絡を取った場合など、連絡先の不動産会社に「離婚協議中の為、売却されると財産分与ができずに困るので売るのを中止してください」と苦情を入れると、不動産会社としても売却を進めることが難しくなります。
処分禁止の仮処分を行う
「処分禁止の仮処分」という方法で法的に不動産の売却を止める事ができます。処分禁止の仮処分とは紛争中の場合、紛争が解決されるまで一時的に不動産を動かせなくする事です。処分禁止の仮処分を行うと、離婚問題が解決するまでの間、不動産の売却、抵当権設定ができなくなります。
処分禁止の仮処分を行うためには担保が必要
処分禁止の仮処分を行うには、担保を裁判所に立てる必要があります。担保は一般の民事保全よりも低額になる事が多く、評価額の1割から2割程度になる傾向があります。
まとめ
離婚協議中に家の売却を勝手にされないようにするための対処法をご紹介してまいりました。夫に限らず、どちらか一人の名義となっている場合に有効な手段となります。ご参考にしていただければ幸いです。
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