国内の競売物件数は、2012年から緊急事態宣言下の2020年まで右肩下がりの推移を示しました。継続的な物価下落、完全失業率の増加、そしてコロナ禍の経済でなぜ競売件数が減少したのかを解説します。
競売件数の推移
競売物件売却数は、消費増税法が成立した2012年1月には2779件、2016年の1月には1777件、新型コロナウィルス感染拡大緊急事態宣言が出た2020年1月には1213件と、年々減少傾向をみせています。
この期間、2013年に経済成長を目的としたアベノミクスが始動、そして2016年には日銀によるマイナス金利が初導入するなど、経済を活性化する2つのカンフル剤によって、競売件数が減少した理由と考えられます。
さらに競売件数を減少させた要因としては、任意売却の世間の認知が広がったことがあげられます。任意売却は不動産競売の3~4割り高く売却することができることや、一般の売却とほとんど変わらないというメリットがあります。
コロナ禍の競売物数が少なかった理由
「コロナ禍で倒産とともに差し押さえが増えて、競売物件が増える」という予測に反して、競売件数が減少した理由には次に挙げる2つの要因が考えられます。
1つ目は、2020年4月の緊急事態宣言時に裁判所が感染予防のため開廷しなかったことです。この月における国内競売件数の合計は279件のみとなり、2012年からの統計の中で最も低い数値となっています。
2つ目は銀行や信用金庫などの金融機関が、中小企業に貸し出している融資の返済期限に関して「リスケジュール」を行っていることです。リスケジュールとは、金利分だけを支払ってもらい、元金の返済を先延ばしにすることです。
これにより、コロナ禍の長期化で支払いに限界を起こしている企業や個人への救済方法として、2021年6月までに1万1000件の返済条件変更に対応されています。金融機関の柔軟な対応措置によって生み出された数値といえるでしょう。
現在の住宅事情
しかし、その後も家を手放す人が増加したため金融庁は、2020年12月新型コロナの影響で収入が減った個人の住宅ローンを減額・免除する制度を新設しました。減免には金融機関の同意が必要なため、21年3月末で558件が手続き中ですが成立した例はまだありません。
コロナによる解雇やボーナスカットが起きている原状で、都心部では住宅価格が上昇しています。背景としては、高所得者層やファンドが投資目的の購入を増やしていることです。特に一等地のマンションには、国内外から投資マネーが流れ込むという現象を起こしています。
まとめ
競売件数の減少の推移は、任意売却が社会に浸透した成果ともいえます。コロナ禍の長期化という現状のなか、高所得者による都心部マンションの住宅購入が活発に行われています。一方で国による住宅ローンの減額・免除制度の新設など二極化が深刻化しています。
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