マイホームが競売にかけられたとしても、全ての物件に対して買受希望者が現れる訳ではありません。なかには期間入札において応札が無いまま開札日を迎える物件もあります。期間入札で売却出来なかった物件は最後はどうなるのでしょうか。
■期間入札と特別売却
期間入札で売却出来なかった売れ残りの物件は、特別売却という方法で売却されることになります。この特別売却というのは、期間入札で売却出来なかった物件について買受可能価額以上の価額での買受の申し出があれば先着順で売却を決定するという売却方法となります。
このときの買受可能価額とは、期間入札における売却基準価額から2割引きした価額のことです。入札による競争が行われないため、購入の意思を持つ者であれば早い者勝ちで、買受可能価額で競売物件を買い受けることができるという訳です。
■それでも売れない場合
しかし、それでも買受希望者が現れず特別売却でも売れ残りとなってしまう物件もあります。このようなとき裁判所は、売却基準価額の見直しを行って再び期間入札を行います。
この見直しによって売却基準価額は下落することになりますが、それでも売れ残りとなってしまった場合には、再び特別売却を行うこととなります。この2回目の期間入札、特別売却でも買受希望者が現れず売れ残った場合には、売却基準価額の見直しを再び行って3回目の期間入札を行い、それでも売れ残れば特別売却という流れとなります。
この売却出来ない期間、債務者は競売物件に住み続けることができます。競売は抵当権の実行になるのですが、抵当権は交換価値すなわち売却代金を把握するための権利であり、所有者が居住を続けることを否定するものではないからです。したがって、競売によって落札者が落札代金を支払うまでは所有者は自己の権利に基づきマイホームに居住を続けることができるのです。
■3回目の特別売却で売れ残った場合
3回目の特別売却を行っても買受希望者が現れず売れ残った競売物件はどうなるのでしょうか。裁判所は3回の期間入札、特別売却を行ったにも関わらず、売れ残った物件は、売却の見込みが無い物件として競売を取り消しをします。債権者は買い受け人が現れることをもって競売による売却を希望することも可能です。
債務者は、所有権を有したままになりますので住み続けることは可能ですが、固定資産税の納税義務は負い続けることになるとともに、ローンの残債も持ち続けることになります。
競売で売却できない物件には、問題のあるケースが多いのですが、任意売却ですと折り合いが付けられ、売却できる可能性がありますので、売却をして残債の整理も行いたいということであれば、任意売却を検討するという方法もありますので、御一考ください。