不動産基礎知識

競売の手続きは債務者の意思と無関係に進む

住宅ローンの滞納が続くと、債権者が債権を回収するために設定した抵当権に基づき競売の開始を裁判所に申立てることになります。不動産の競売には様々な手続きが随所で必要になります。
この手続きは基本的に債務者とは無関係で進められるものであり、債務者の意思が反映されることはありません。

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競売開始の手続き
住宅ローンを滞納していると債権者側は競売の開始に向けて様々な手続きを行います。まずは返済が滞っている債務者に対して督促状や催告書などを送付し、返済を促します。
金融機関も本来であれば返済を継続してくれるほうが望ましいので、返済計画の見直しの提案も行うのですが、最終的に債務者から返済が受けられないと判断すると裁判所に競売開始の申立てを行うことになります。
この競売開始の手続きを取るために、債権者は予納金を準備したり、申立ての書類を手配したりすることになります。競売開始の審理自体は、抵当権に基づくものであれば滞納の事実で足りるため比較的速やかに裁判所の手続きが進み「競売開始決定通知」が債務者に送付されることになります。

期間入札の開始まで
競売が開始されると、裁判所主導で競売の手続きが進んでいきます。裁判所は公告を行ったり、競売物件の調査を行ったりと期間入札を実施するための手続きを進めます。裁判所は、「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」という、いわゆる競売の3点セット呼ばれる書類を作成するのですが、この作成のためには債務者の自宅の内外を調べることになります。これらの調査に対して債務者は拒否をすることができません。
執行官が連絡していた調査日に、施錠して居留守を使っても、出かけていても執行官は解錠して家の中に入り調査する権限を持っています。こうして債務者の意思とは無関係に競売による売却に向けた手続きが進んでいくことになります。

建物の明け渡し
こうして手続きが進むとやがて落札者が決定することになります。当然、債務者は誰が落札者になるかについて意見することは全くできません。落札者による代金の支払いが完了すると、所有権は落札者のものとなり、債務者が競売物件に住んでいる場合には不法占拠者ということになります。落札者は、債務者に対して明渡を請求することになりますが、債務者は拒否することができません。
もし、拒否をしたとしても、落札者が「不動産引渡命令」という、特別措置をとる手続きを取れば、債務者は裁判所の命令によって強制的に退去せざるを得ないことになります。
このように競売手続きでは、債務者の意思が考慮されることはありません。任意売却であれば、引き渡し時期や引越し代金などが交渉によって債務者の意思が酌んでもらえることもあります。競売を回避して任意売却をお考えの場合には、競売開始前の早い段階が有利ですので決断は早いに越したことはありません。

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