前回、賃借人について説明してきましたので、今回は配当表について説明していきたいと思います。配当表とは、競売で得た収入金額を、受け取る資格のある債権者が、1人および複数いた場合の分配を決める内容になります。それでは、詳しく見ていきましょう。
■配当表とは?
配当表とは、裁判所より競売による金額が納められると、その代金を債権者に分け合うために、配当期日若しくは、弁済交付の日を決めた表のことをいいます。競売が確定すると、裁判所が配当表を制作します。
例えば、Bさんが1,000万円の不動産をAさんから購入しました。しかし、Bさんは1銭もお金を持っていません。ですから、Bさんは、CさんとDさんから500万ずつお金を借りて不動産を購入し、Aさんから購入します。
Bさんは、月々5万円ずつCさんとDさんに返済していくのですが、後々返済できなくなり、滞納していきました。
返済できなくなったBさんは、CさんとDさんにより裁判所に申し立てが認められて、不動産を売って支払いに充てることになりました。裁判所は、公正な入札によって、その不動産を800万で売ります。これを「競売」といいます。
次に、800万で売却した不動産をCさんとDさんで分け合わなければなりません。どちらも500万貸したのでできるだけ500万に近い状態で戻ってこさせたいですよね。そこで、裁判所が仲介に立ち、CさんとDさんの800万円の分け前を貸した分の割合に応じて記したのが「配当表」です。中には優先順位なども記されています。
■配当表が出来上がる前に
①裁判所による配当期日の定め
まず初めに、不動産の代金が納められると、裁判所が「配当期日」を決めます。配当期日などの決定によって、裁判所からそれぞれの債権者に対し、債権額を記した計算書を1週間以内に提出するように請求されますが、債権計算書は裁判所から送られてくるため、その書式を使用して記入すればOKです。
②「配当を受ける資格のある債権者」と提出書類
配当を受けるための「配当を受ける資格のある債権者」は以下の4種類です。
・差し押さえ債権者
・配当要求した債権者
・差し押さえ前の仮登記を持っている債権者
・差し押さえ登記前に抵当登記した債権者
③配当期日にすべきこと
配当期日には、配当を受けなければいけない債権者全員と債務者が裁判所にいきます。そして、裁判所が配当表を制作した原案に対して、裁判所に呼び出された債権者と債務者に示されます。
その原案に異議のある申請者に対して、裁判所がさまざまな質問をして書類を調べ、債権の額を確認したり配当の順位に優先度合いを決めたり、最終的な配当表の内容などを決めていきます。
④配当表に対して納得がいかない場合はどうしたら良い?
もし、配当表に記された各債権者の債権若しくは配当額に納得がいかない場合は、配当期日に裁判所へ出頭した上で、配当異議の申し出をしなければなりません。
配当期日に出頭せずに、書面だけで配当異議の申し出をしても通常の民事裁判のように、陳述したものと仮定する制度(=擬制陳述)がないため、注意が必要です。
⑤配当の施行
配当の異議の申し出がない箇所については、配当期日の当日に、配当表に従い配当されます。配当期日に裁判所へ出頭しなかった債権者がいた場合は、その配当額は法務局へ保管されます。
■まとめ
配当表とは、1人および複数の債権者(お金を貸した人など)がお金を回収するために、金額の割合に応じての取り分や、優先順位や競売の売却金額の内容が記されたものです。万一、不当であると異議がある場合には、裁判所が仲介に立つため、揉めることのないように配当できるメリットがあります。
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