一般の物件より安く買えるといわれる競売物件。しかし、なぜ競売に出されたかという諸事情まではわかりえません。そのような競売物件と通常の物件購入とは違う、競売特有の「リスク」が潜んでいることも多々あります。その中でも「残された動産(家具など)」には注意が必要です。
家具などの動産類が残されているケース
不動産を競売にかけられる人の中には、家具などの家財道具を残したまま失踪するというケースもあります。その場合、困るのは残された家具などの扱いです。
競売では、競売にかけられている物件(不動産)自体の権利は買受人に移動しますが、動産(家具)などの権利は移動しません。
また、居住者が死亡していたケースになると、家具などは遺品として扱われ、相続人へと権利が移動します。もし、相続人が相続を放棄したとしても、管財人の管理物として扱われるので、改めて遺産相続人や管財人に所有権放棄と処分の代行に関して了承をもらい、一筆をかいてもらわなければ、簡単に強制執行することもできません。
ゴミ屋敷を落札したケース
前述した通り、競売で落札したのは不動産部分なので、たとえ落札した物件が家財道具やゴミなどの残置物で溢れかえったゴミ屋敷で、前の所有者が撤去をしてくれなければ、落札した人が勝手に処分することはできません。
たとえ債務者と連絡がとれたとしても、債務者に家具などの運搬費やゴミの撤去費用などの支払い能力がなければ、清掃費用を一時的に負担する必要が生じることもあります。
また、清掃費用だけではなくカビやシロアリがあった場合、その瑕疵担保責任は買受人側にあります。そうなると、除去費用だけでなくリフォーム代も発生することを認識しておいた方が良いでしょう。
残置物を撤去する手段は
居住者と連絡がつかないような「強制競売」などにおいても、万が一にも処分して前の所有者にそのことについて裁判で訴えられた場合には、買受人が不利になることになります。
そのようなことから、先ずは前の所有者を探しお願いする必要があり、具体的な方法としては、相手方に内容証明郵便物や配達証明つき郵便を送ること。残置物の引取依頼か不要物であれば、適当な金額を提示して買い取ることを提案すると良いでしょう。
もし、話し合いに応じない、相手側の協力が得られない、見つからない等の場合は、栽培所に強制執行の申立てを行います。
強制執行では裁判所は執行官が残置物について引渡すよう命令が下されますので、法的に残置物の引渡しを受けた上で移動するなり処分を行うことができるようになるのです。
しかし、そのような場合でも処分費用は買受人の負担となるので出費を伴うことも理解した上で行いましょう。
まとめ
落札をすることで競売物件の所有権は移動することになりますが、家具などの動産類に手をつけることは難しく、先ずは話し合い、その次に買い取り交渉、それでもダメなら法的な手続きへと移行することになります。競売物件にはそのようなリスクが潜んでいるということも忘れてはいけません。
不動産のことに関して何か疑問や困りごとがありましたら、お気軽に「アブローズ」までご相談ください。