債務整理

債務名義を取得するための裁判とは何か

強制執行によって抵当権の設定が無い不動産を競売にかけるためには、債務名義が必要だと言われます。
債務名義は、当事者の合意などで形成されるものではなく、裁判など司法によらなければならないとのことですが、債務名義とはそもそも何なのでしょうか。

LP_banner_02
自力救済の禁止
債権者は、返済をしてもらえることを前提にお金を貸しているのですから、返済が受けられなくなってしまったら、返済をしてもらえるように要求することは当然のことです。問題は、この要求の仕方です。
債権者とすれば、大切なお金を貸している訳ですから、多少無理をしてでも例えば債務者が持っているものを取り上げて質に入れてでも返済をしてもらいたいと考えるのも無理はないことです。しかし、裁判などを経ずに債権者が個人の力で強制的に債務者の財産をお金に換えて債権を回収することは、特別な事情が無い限り法律で禁止されています。
この行為を自力救済と呼びますが、これは不法行為に該当する恐れもあります。自力救済を認めてしまうと、力の強い者による債権回収が横行してしまい法治国家の秩序を保つことが困難になるためです。

強制執行に必要な債務名義
債務者の財産を強制執行するためには、裁判などによって得た債務名義という書面が必要になります。強制執行には、主に不動産執行、債権執行、動産執行の3種類あります。
そして、債務名義とは、債権者に対して付与された強制執行によって実現されるべき債権の存在や範囲を公に証明する文書のことです。この債務名義を得るための方法はひとつではなく、債権者と債務者の関係や状態によって最適な債務名義の取得方法が異なることがあります。
債務名義の取得の中で最も分かり易く明確なのは、裁判による確定判決によるものです。裁判で勝訴し、支払命令が出た場合には、この判決正本は債務名義となります。
また、裁判によらずとも、金額などの争いが無く、債権者と債務者の間で合意が出来ている場合には、公正証書が債務名義になります。これら以外にも、即決和解、民事調停、支払督促、少額訴訟などの方法によって債務名義を取得することができます。

債務名義で注意する点
裁判で争って債務名義を獲得するためには、費用と時間が必要になります。そこで簡単に債務名義を取得する方法として、支払督促や少額訴訟という方法があります。
債権者が支払督促や少額訴訟の方法で債務名義の取得を取ろうとしてきた場合には、債務者は定められた期間内に異議申立てを行わなければ手続きが進むこととなりますので注意が必要です。裁判所から書類が送られてきたら放置せずに必ず内容の確認を行い、必要があれば法的な対抗措置を取るようにしましょう。

LP_banner_02

ピックアップ記事

  1. 賃貸不動産の経営管理を安易に考えてはいけません!
  2. 不動産売却における委任状取り扱い説明書
  3. 督促状の納期限とペナルティについて
  4. 実は厳しい税金滞納への対応
  5. 後妻の子の相続における取り扱い

関連記事

  1. 債務整理

    なんと競売に、ローン制度がある!!

    ほしい競売物件があるが、オフィス・アパート・マンション・ホテルなどで、…

  2. 債務整理

    法律上の債務と会計上の負債の違いについて

    お金を払わなければいけない状態を、債務を負っているとか、負債を抱えてい…

  3. 債務整理

    競売と公売|何が違うの?

    競売や公売と聞くと、物件を安く手に入ることができるという、大きなメリッ…

  4. 債務整理

    競売に必要な予納金

    不動産物件を競売に出さなくてはいけなくなったとき、裁判所に申し立てを行…

  5. 債務整理

    競売の仕組み

    住宅ローンなどを滞納してしまった場合、当然ながら物件は差し押さえられて…

  6. 債務整理

    競売の買受人と原始取得

    競売物件には様々な事情の物件があります。よって、必ずしも良い物件ばかり…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 任意売却

    任意売却・競売以外の住宅ローン支払い不可能状態における選択肢・個人再生とは
  2. 賃貸オーナー様

    賃貸経営における経費が投資を左右する
  3. 賃貸オーナー様

    突然の賃貸管理会社の変更で更新料の請求は妥当なのか
  4. 離婚と不動産

    離婚した後に第三者へ家を貸すことは可能なのか?
  5. 任意売却

    【任意売却】連帯債務者と連帯保証人の違い
PAGE TOP