相続発生後に受領する年金に対する課税については、相続税となるのか、所得税となるのか又は両方が課税されるのかでしばしば問題となることがありました。
未支給年金に対してはどのように課税が行われるのでしょうか。
未支給年金とは何か
日本では労働者であっても学生であっても20歳以上の成人であれば国民年金への加入を義務付けています。
労働者のうち会社員などであれば厚生年金となるケースがありますが、厚生年金は国民年金の上乗せとなりますので、国民年金に加入していることに変わりはありません。
年金保険料を支払うことで将来の老齢年金などを受け取ることが出来るようになるのですが、年金の支給は原則2カ月に1回の年6回で、前月分と前々月分が支給されます。
偶数月が支給月となり、例えば6月の支給では4月分と5月分が支給されることになります。
このため未支給年金というものが発生することになるのです。
未支給年金とは相続が発生した時点で受給していない年金のことであり、実際に金銭の支給を受けてない年金のことです。
したがって6月時点で4月分と5月分の年金の支給日の翌日に相続が発生したのであれば未支給年金は6月分が該当し、支給日の前日に相続が発生したのであれば未支給年金4月分、5月分、6月分が未支給年金ということになります。
年金は所得税の対象となり、雑所得に該当しますが未支給年金の扱いはどのようになるのでしょうか。
必要な準確定申告
被相続人が年金を受け取っていた場合には一定の収入がある事になりますので、相続が発生した年の1月1日から相続発生時までの収入について準確定申告を行う必要が生じます。
公的年金は雑所得として扱われるのですが、未支給年金の扱いが問題になります。
被相続人に課税される所得税の対象は実際に受け取った年金となります。
実は未支給年金は被相続人の年金における源泉徴収票に支給額として含まれないのです。
したがって被相続人の準確定申告では未支給年金は含まないことになります。
それでは未支給年金は被相続人の財産ということで相続税の対象となるのでしょうか。
相続人の所得
実は未支給年金は被相続人の相続税の課税対象にもなりません。
未支給年金は相続人が自己の権利として請求するものであると考えられていることから、相続人の一時所得として所得税の対象となります。
一時取得の場合には年間50万円の基礎控除が認められているため未支給年金によって得られた額を含めて一時取得の合計額が50万円を超えず、他に確定申告が必要な要件がなければ、相続人の所得税に関する確定申告を行う必要はありません。