不動産の売買や賃貸などで不動産会社の仲介を受けると仲介報酬が発生します。アパートやマンションの賃貸経営を行っている場合に不動産会社の仲介を利用しても同様です。
これらの不動産会社は宅建業の登録をしており、宅地建物取引士の資格を持っている人に重要事項の説明などを受けることになりますが、大家が自ら賃貸管理を行う場合に宅建業の登録や宅建の資格は必要になるのでしょうか。
大家が自ら賃貸管理をする場合
意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、大家が自分の投資している物件の賃貸管理を行い、入居者と賃貸借契約を締結する場合には宅建業の登録や宅建士の資格は必要ありません。
宅地建物取引業法において規制されるものを業務として行うのであれば、宅建業の登録が必要になりますが、その規制範囲は宅地又は建物の①売買または交換、②売買、交換、賃借の代理、③売買、交換、賃借の媒介について宅地建物取引を業として行うものとなります。したがって自分の投資物件を直接他人に賃貸する行為は、それを日常的に繰り返していたとしても宅建業法の規制範囲に該当しないのです。
もし、他人の投資物件について賃貸を行う場合には上記の②か③に該当することになるため宅建業の規制範囲に該当することになります。
賃貸管理業者の場合
しかし、サラリーマン大家などでは賃貸管理に時間を割くことは難しく、一般的には賃貸管理を業として行っている会社に委託することが行われます。この賃貸管理業者についても宅建業の登録や宅建の資格が不要なケースがあります。この賃貸管理会社が物件の管理に特化しており、物件の掃除やメインテナンスなどを行っているだけであれば不要となります。
なお、契約の更新、退去の手続き、家賃の督促などを業務としていても宅建業の登録は不要です。しかし、一般的に賃貸管理会社は請け負った物件に空室が発生した場合には入居者の募集を行っています。このように賃貸借について大家と賃借人の間に入って仲介を行うことが宅建業法の規制範囲に該当しますので、宅建業の登録と宅建士が必要となります。
宅建の知識は必要?
大家業を行うには宅建の資格は不要ということが分かりましたが、自ら賃貸を行う場合であっても賃貸管理会社などに委託する場合であっても宅建の知識は無いよりはあった方が良いでしょう。不動産に関するある程度の知識が身に付くため役に立つ場面は多いと思います。
また、賃貸管理の局面だけでなく新規投資物件の購入などにおいても役に立つことでしょう。